Samsungトップの逮捕劇は、スマートフォンの売り上げに影響を与えるのか？

 
韓国のパク・クネ（朴槿恵）大統領の収賄事件に伴い、Samsungのトップであるイ・ジェヨン（李在鎔）副会長が逮捕されましたが、同社のスマートフォン事業に対する影響は短期的にはない、というのが専門家の見方です。

短期的にはほぼ影響なし

16日に逮捕されたSamsungのイ・ジェヨン副会長は、政府による支援の見返りとして、パク・クネ大統領を影で動かしていた人物に約40億円を贈賄した疑いが持たれています。創業者一族であるばかりか、Samsungトップの逮捕劇とだけあって、同社の売り上げ面への影響がスマートフォン市場でも取りざたされています。
 
しかし、調査会社IDCデバイス部門のブライアン・マー氏は「現場におけるリーダーシップやオペレーショナルチームを考慮すると、短期的にはSamsung電子に対する悪影響はそれほどないと考えている」と、副会長の逮捕が売り上げに直結するわけではないと指摘します。マー氏によれば、移り気なスマートフォン市場や、メモリーやディスプレイ部品の需給のほうがビジネスに影響を与えるのだそうです。
 
事実、Appleにとってのスティーブ・ジョブス氏やティム・クック氏とは異なり、イ副会長はSamsungの「顔」でもなく、デバイスの開発などに積極的に関与しているわけでもありません。こうした状況を踏まえ、Moor Insights & Strategyのアナリストも「いかなる短期的なインパクトも確認していない」と、マー氏の見方を裏付けています。

長期的には企業の方向性に変化もたらすか

もっとも、長期的にみると、イ副社長が逮捕されることによって、良かれ悪しかれオペレーションに影響が出てくるだろう、とマー氏は指摘します。「逮捕の影響は、長期的な展望の方に関わってくるかもしれない。戦略の方向性、後継者育成のマネージメント、より迅速な企業風土を生むという努力がこれに含まれる」
 
Samsungの企業風土については、Galaxy Note 7のリコール事件の際、元従業員の「社風は軍隊のようであり、技術的な知識も有していない幹部からの命令が平気でまかり通る環境」という衝撃的な告白が話題となっていました。
 
総括すれば、Samsungにとっては社のトップが逮捕されるよりも、Galaxy Note 7の爆発の方がよほど被害が甚大だったということでしょうか。同社は3月末に新たなフラッグシップモデルであるGalaxy S8（仮称）をリリースする予定です。
 
 
Source：PCWorld
(kihachi)