ディスプレイ内Touch ID開発継続!?検出速度を改善する新たな特許を出願
Appleが、ディスプレイ内指紋認証(Touch ID)に関する新たな特許を出願していることが確認されました。AppleはiPhone SE(第3世代)の後継モデルであるiPhone SE(第4世代)で、生体認証をTouch IDからFace IDに切り替える見通しです。
しかし、特許出願状況からディスプレイ内Touch IDの開発は継続しているようです。
申請された特許の内容
Appleが現地時間2024年3月5日に米国特許商標庁(USPTO)に出願した特許は、ディスプレイ内指紋認証での認証速度を短縮するためのものです。
現在、Androidスマートフォンなどに搭載されているディスプレイ内指紋認証機構にはCMOSセンサーが用いられています。CMOSセンサーを用いた指紋認証機構では、照射光に対する反射光の乱反射が生じやすく、補正するプロセスが必要になることで認証完了までの時間が長くなります。
Appleが今回出願している特許には、この乱反射の問題を解決するアイデアが記されています。
乱反射光の分離には、コリメータ(下記図表1Aの140)が用いられます。反射光をコリメータを通すことで、受光センサー(150)には光が直線的に(平行に)到達しやすくなりS/N比が高まります。
結果、補正の必要性が大幅に減少し、素早い認証が可能になるわけです。
研究開発継続も、実製品への搭載は期待薄
今回の特許出願はあくまでも研究開発の一環として行われたものであり、実製品への搭載を前提にしたものではないと考えられます。
Appleは多くの製品にFace IDを搭載、今後もiPhone SE(第4世代)に搭載するなど製品が増えることで、Face ID機構を構成する部品単価が下がっていると容易に予想されます。
そのため、ディスプレイ内Touch IDを搭載しようとすれば販売価格値上げは避けられないでしょう。
Touch ID機構としてはiPad mini 6などが搭載するTouch ID内蔵電源ボタンのほうが部品単価も安いと考えられ、ディスプレイ内Touch IDがそれに取って代わるとは思えません。
iPhone14シリーズ発表まではほぼ毎回のように、ディスプレイ内Touch IDを搭載するとの予想が伝えられていましたが、iPhone15シリーズではそうした噂も無くなっていました。
Photo:Patently Apple, Apple Hub/Facebook