「Apple Car」プロジェクト終了~社内では「タイタニックの悲劇」の声も

apple car

社内向けに発表した文書から、Appleが自動運転車「Apple Car」の開発を断念したことが明らかとなりました。しかし社内では大した驚きもなく、プロジェクト名(Project Titan)を文字って「タイタニック(Titanic)の悲劇」と呼ぶ声すらあったほどだったことが分かっています。

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公式な計画ではないため公式発表はない

Appleの自動運転車プロジェクト、通称「Project Titan」への取り組みは公然の秘密ではあったものの、これまでに同社から一度も計画のあらましが公式発表されたことはありませんでした。

したがって今回、Apple Car開発の断念をAppleは公式に認めていませんが、2月下旬に全従業員へ向けてプロジェクト終了の通達がなされていることから、ほぼ事実とみて間違いないでしょう。

二転三転する計画、巨額の予算、冷めた社員

Apple Carは、テック界の巨人が業界に革命を起こす新製品として、長らく大きな期待がもたれていただけでなく、過去には具体的な提携サプライヤーの名前まで挙がったほどです。

しかし年を追うごとに、プロジェクトの遅延方向転換、放棄などについての噂や、中核人物の離脱報道が度々持ち上がるようになり、ここ一年ほどは、Titanの終了が時間の問題だとの見方も少なくありませんでした。

New York Timesは取材によって、プロジェクトの終了を喜ぶ社員も少なくないことのほか、社内では「(Titanにかけて)タイタニックの悲劇」と揶揄(やゆ)する向きもあったなどを報じています。

1.5兆円の予算は無駄だったのか?

累計100億ドル(約1.5兆円)をつぎ込んだプロジェクトに対して、合理的な撤退判断を下せるのは、Appleほどの体力がないと無理ですが、幸いなことに、これまでの予算がまったく無駄になったわけではありません。

障害物の検知システムを一つとっても分かるように、プロジェクトで培った技術は、次なるテック業界のホットトピックであるAI分野に転用することが可能です。

しかもAppleがプロジェクトを断念したのは、技術的に実現不可能だったからではなく、電気自動車(EV)業界の成長ペースが鈍化しているなかでApple Carをリリースしても十分な利益が見込めないと判断したからではないか、との指摘もあります。

したがって今後、AI自動車業界が活気づいたときに、改めて“Apple Car2.0”を期待するのは決して無理筋ではありません。

Photo:Vanarama

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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