サイドローディング解禁、iPhoneのセキュリティは大丈夫?

フィリップ・シラー

フィリップ・シラー
 
App Storeを統括するAppleフェローのフィリップ・シラーが、ビジネスメディアFast Companyのインタビューで、来月から欧州連合(EU)で運用が始まる見込みのiPhone向けのサードパーティーアプリストアについて詳細を語っています。同氏によれば、Appleはアプリストア開設者のためのツールキットを用意しているとのことです。
 

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleフェローが、来月から欧州連合で運用が始まる見込みのサードパーティーアプリストアについて語った。
2. Appleはアプリストア開設者のためのツールキットを用意しているという。
3. App Storeのような高度なセキュリティをサードパーティーアプリストアが維持するのは困難との指摘も。

EUの決定でApp Storeが開放へ

ヨーロッパで新たに導入されたデジタル市場法(DMA)でApp Storeが独占的と判断されたことを受け、AppleはEU加盟国においてのみiPhoneでサードパーティーアプリストアからのアプリダウンロード、いわゆるサイドローディングを許可します。
 
これまでiPhoneにダウンロードされるすべてのアプリはAppleが運営するApp Storeを介して行う必要がありましたが、サードパーティーストアの登場により、特にセキュリティ面が大きく変化するといわれています。

600以上の新たなAPIを用意

iPhoneでサイドローディングが可能になるといっても、Appleがまったくアプリダウンロードに介入しないというわけではなく、同社は自動化された悪意のあるコードのスキャンや、人間による基本的なチェックを行うことがわかっています。
 
加えて、600以上の新たなアプリケーションプログラミングインタフェース(API)がサードパーティーアプリ開設者のために用意されており、マーケットプレイスの構築、アプリのインストール、ユーザーによるプロセスのコントロールがより簡単に行えるようにしているとのことです。
 
シラー氏によれば、Appleはこの2年間、DMAという新規性を完全に把握するため欧州委員会(EC)の代表者と50回以上面会し、何千人というエンジニアや従業員をそれに捧げてきたとのことです。

それでもApp Storeが一番安全なストア?

AppleはApp Storeを安全なアプリのマーケットプレイスとするため、多額の資金を費やしていますが、小規模なサードパーティーストアはいくら崇高な意図を持っていたとしても、Appleと同レベルの高度なセキュリティを維持するのは難しいといわれています。
 
セキュリティ専門家も、サイドローディングの危険を回避する最も確かな方法は、サイドローディングを行わないことだと述べており、App Store開放後もAppleが直接運営するApp Storeが最も安全なアプリストアとして君臨し続けるのではないでしょうか。
 
 
Photo:Apple
(lexi)

この記事がお役に立ったらシェアお願いします

この記事を書いた人

ARラボ出身の猫愛好家。往年のMacユーザーで、iPhone使用歴は10年以上。

特集

目次