「転職ルールが厳しすぎ」引き抜きが問題になった企業、Appleを逆提訴

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2022年にAppleから訴えられたチップ開発企業Rivosが、同業他社で働けなくなるような契約を従業員に結ばせているのは違法だとして、Appleを逆提訴しました。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleが従業員と交わす契約内容が転職を不当に妨害しているとの訴訟が起きた。
2. 今回訴えを起こしたRivosは、Appleから2022年にエンジニアの引き抜きで訴えられている。
3. これまでにも競合的な元従業員に対して、Appleは厳しい姿勢をとってきた。

雇用契約で禁止する範囲が広すぎる?

Bloombergによると、Rivosは22日(現地時間)、Appleが自社の従業員に対して、競合他社に転職することを厳しく禁じるような契約を結ばせているとし、Appleを提訴しました。
 
Rivosによると、企業秘密の保持を理由にAppleと結ぶ必要のある契約は「雇用の過程で『学んだことすべて』が対象となる(anything learned during the course of employment)」となっているため、他社で働こうとする従業員を不当に束縛しているのだそうです。

2022年にAppleから訴えられていた

Rivosは、オープンソースのRISC-Vと呼ばれるアーキテクチャをベースとしたチップを開発するスタートアップ企業で、Appleの元従業員によって設立されました。ARMのライセンスアーキテクチャと異なり、オープンソースでライセンス料も不要なRISC−Vは、昨今多くの企業から注目を集めています。
 
AppleとRivosの対立が表面化したのは2022年5月で、Rivosに引き抜かれたエンジニアが企業秘密を持ち出したとして、Appleが訴訟を起こしたことに端を発します。訴訟がなされた時点で、過去1年間で40名ものApple社員がRivosに転職しており、引き抜きはかなり大掛かりだった模様です。

元従業員を相手取った裁判は複数

RivosとAppleの争いはしばらく続きそうですが、同業他社との引き抜き合戦が訴訟沙汰に発展したケースは、他にもいくつか存在します。
 
最も有名なのは、Nuvia創業者のジェラルド・ウィリアムズ氏を相手取った訴訟でしょう。
 
ウィリアムズ氏はiPhoneやiPad向けのチップ(A5〜A12X)デザインを統括していた元幹部でしたが、在職中から起業準備を入念に進めていたとして、Appleから2019年に提訴されました(2023年4月にAppleが訴えを突如取り下げ)。
 
ほかにも2021年には、MacBookのプロダクトデザインなどを手掛けていた元従業員に対し、メディアに機密情報をリークしたとして訴えを起こしました(2022年11月に和解)。
 
こうして振り返ってみると、就業に伴う厳しい契約だけでなく、積極的な提訴も引き抜きや情報持ち出しの抑止力として、Appleが戦略的に用いている節は否めません。
 
 
Source:Bloomberg via AppleInsider
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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