Appleへの130億ユーロ課税は是か非か〜租税回避問題で欧州委が最高裁に上訴

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アイルランド法人を利用して租税回避を行っていたAppleに、130億ユーロ(約1.9兆円)の支払いを命じた判断は無効だとした判決を不服とし、欧州委員会が欧州連合(EU)の最高裁判所に上訴を行いました。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleがアイルランド法人を利用して租税回避を行っていた問題。
2. EUの欧州委員会は判決を不服として、欧州司法裁判所に上訴を行った。
3. Appleは課税額に問題があるとし、委員会の命令は誤った仮定に基づいて下されていた。

裁判所がApple側の言い分認める

Appleがアイルランドと特殊な取り決めを結び、米国外でのほぼすべての収益を現地に集約させ、最小0.005%もの著しく低い法人税率で節税していたことの是非を巡る問題で、2020年の控訴審ではAppleの主張を支持する判決が下されました。
 
これに対し、EUの欧州委員会は判決を不服として、同地域の最高裁判所に相当する欧州司法裁判所に上訴を行ったことが明らかとなりました。

130億ユーロの支払い命じられる

“タックスヘイブン(租税回避地)”として知られるケイマン諸島など、名目上の拠点を税金の安い国に設けることで法人税を安く抑えるスキームは、古くから多くの企業によって行われてきました。
 
多国籍企業であるAppleもアイルランドの子会社を通じて、数十億ドルの節税に成功したと言われています。
 
しかしアイルランドはEUに加盟しているため、他の加盟国と足並みを揃えず取り決めを行ったことを欧州委員会は違法だと判断、2018年に130億ユーロの支払いをAppleに命じました。

2023年11月に最終決着か

ところが上で述べたように、2020年に欧州委員会の決定を欧州司法裁判所が無効と判断したことで、事態はAppleに有利となります。同社は課税額に問題があるとし、委員会の命令は誤った仮定に基づいて下されており「現実離れで常識を欠く」と異議を申し立てていました。
 
これに対して欧州委員会は今回、改めて最高裁判所に判断を仰ぐ格好となったわけですが、2016年にAppleを提訴してから足掛け7年が経過しています。裁判所の判断は2023年11月に発表される予定です。
 
なお、Appleとの取り決めが大きな問題となった後、アイルランドは経済協力開発機構(OECD)の租税協定に加盟したため、すでにタックスヘイブンとしての地位を失っています。
 
 
Source:AppleInsider,Reuters
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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