550億円の損害賠償命じる判決、Appleは裁判やり直しを主張

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実態のない“パテント・トロール”の特許を侵害したとして、巨額の賠償金支払いがAppleに命じられた判決について、同社は陪審員の判断形式が不当だったとして裁判のやり直しを求めています。

550億円超の巨額賠償命じられる

2020年8月、PanOptisの所有する4G LTE関連の複数特許を侵害したとして、米テキサス州の東部地区連邦地方裁判所がAppleに対して5億600万ドル(約555億円)の賠償を命じました。これについて、Appleは判決直後から上訴する構えを見せていましたが、陪審員による評決方法に問題があるとの考えを新たに示しました。
 
そもそも評決方法に問題があるとAppleが主張する理由は、PanOptisの多岐に渡る申立てを1つの質問にまとめて陪審員に委ねるのは不当だと考えているためです。Law360によれば、PanOptisの申し立てた「5件の特許に由来する9件の主張が1つの質問にまとめ」られ、それぞれの主張が個別に審議されたわけではないようです。

「陪審員は正しく判断できていない」と反論

このため、Apple「正しい判断材料なしに陪審員は、PanOptisの特許が侵害されていると判断した」と指摘、裁判をやり直すべきだと主張しました。「この手の不確実性によって評決が歪められている場合、一般的な評決原則では該当の評決を破棄して新たな裁判を行う必要がある」
 
また、Appleは裁判の無効性を訴えているだけでなく、「均等論(the doctrine of equivalents)」が今回の特許侵害裁判では適用されないとも主張しています。
 
この原則は、デバイスやプロセスが特許請求の文言上の範囲に分類されない場合も含めて、特許侵害に当たるかどうかを裁判所に判断させます。したがって均等論に基づけば、特許に記載されている内容と特許侵害品が厳密に同一でなくとも、“均等”と判断できる場合は特許権の効力が及びます。

厄介なパテント・トロール

この裁判がどのように進展していくは不明ですが、PanOptisは損害賠償や特許使用料を目的とした、企業実態のない“パテント・トロール”だと考えられており、今後は5億600万ドルの賠償金を変更するなどして、Appleと交渉に及ぶのではないかと予想されています。
 
なお、こういったパテント・トロールの存在と、彼らに有利な判決を出すテキサス州地裁の組み合わせには、以前からAppleも頭を悩ませており、訴訟対策として同州東部地区のApple Storeを閉鎖する事態にまで発展しています。事実、テキサス州東部地区の連邦地裁は最近も、PanOptisの裁判とは別に、3億850万ドル(約335億円)の賠償をAppleに命じたばかりです。
 
 
Source:AppleInsider,Law360
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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