Apple、特許侵害で“パテント・トロール”へ520億円の支払いを命じられる


     
    10年越しとなるAppleとVirnetXの裁判で、米テキサス州の連邦陪審は、VirnetXの特許を不当に使用していたとして5億280万ドル(約526億円)の支払いをAppleに命じました。

    Apple製品のVPN技術が問題に

    VirnetXは2010年より、自社の有する特許がAppleの提供するVPNやiMessage、FaceTimeなどのサービスで不当に利用されているとして、損害賠償請求を行ってきました。今回の裁判で問題となっていたのは、ユーザーがVPNに自動接続するためのVPN on Demandと呼ばれる技術に対する特許使用料です。
     
    もともと2018年に5億260万ドル(約525億円)の賠償命令がAppleに命じられていましたが、Apple側はVirnetXの特許に抵触しないようにFaceTimeの機能を変更済だったと主張、2019年に一部分は控訴裁判所によって地方裁判所に差し戻されたことで、損害賠償額の再計算が行われていました。
     
    Bloombergによると、VirnetXは7億ドル(約732億円)を要求した一方、Appleはデバイス1台あたり19セント(約19円)の特許使用料だとして、1億1,300万ドル(約118億円)を提示していました。最終的に連邦陪審は1台あたり84セント(約84円)で計算したとのことです。

    賠償金目当ての“パテント・トロール”

    VirnetXは、実際に製品開発は手掛けていません。特許のみを所有する企業や団体、大学などが必ずしも製品をリリースする資本力や開発技術があるとは限らないため、この構図自体は問題とはされていません。
     
    しかし、中には所有する特許をもとに賠償金や使用料で稼ぐことを目的とした企業も存在しており、VirnetXもそうした“パテント・トロール(特許ゴロ)”の一つだと考えられています。事実、2010年にはMicrosoftもVirnetXに対し、およそ2億ドル(約210億円)の損害賠償金を支払っています。
     
    パテント・トロール対策にはAppleも頭を痛めており、2019年には特許所有者、すなわちパテント・トロール側に圧倒的に有利な判決を下すことで知られるテキサス州東部地区裁判所での裁判を回避するため、テキサス州東部のApple Storeの閉店を余儀なくされたことが話題となりました。
     
     
    Source:Bloomberg via MacRumors
    (kihachi)

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    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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