日本のスマホ料金は通信品質を考慮すると高くない、ICT総研が6カ国比較調査
調査会社ICT総研は7月16日、「2020年 スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査」の結果を発表しました。世界6カ国のスマートフォン料金と通信品質を比較しています。
総務省の国際比較と同じ6カ国で料金、通信品質を比較
ICT総研の「2020年 スマートフォン料金と通信品質の海外比較に関する調査」は、日本、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、韓国の6カ国のシェア上位のMNO(キャリア)3事業者の料金、通信品質(4G接続率とダウンロード通信速度)を比較しているほか、日本のスマートフォンユーザー1,000人を対象とした満足度アンケートも実施しています。
なお、比較対象となっている6カ国は、6月末に総務省が公表した通信料金国際比較調査に用いられている6都市の所在国です。
1. 料金比較
スマートフォン料金は、総務省と同じデータ容量2GB、5GB、20GBについて、6カ国のシェア上位3事業者の平均月額料金を比較しています。
誰もが契約できる料金プランで比較するため、契約に伴って自動的に適用される割引以外は考慮しておらず、税込額をOECDの購買力平価換算で円通貨に換算しています。
各容量の平均料金は、フランスが最も料金が安く、最も高いのは2GBがアメリカ、5GBと20GBは韓国でした。
ICT総研は、日本の料金は「中位レベル」にあると指摘しています。
2. 4G接続率と料金
各国の4G接続率(横軸)と料金(縦軸)をグラフにして比較すると、4G接続率が最も高いのは日本(98.5%)で、韓国(98.3%)、アメリカ(96.1%)が9割台、イギリス(89.2%)、フランス(86.0%)、ドイツ(85.8%)は8割台です。
3. ダウンロード通信速度と料金
ダウンロード通信速度(横軸)と料金(縦軸)をグラフにして比較すると、通信速度は韓国(59.0Mbps)が最も速く、日本(49.3Mbps)が2番手で続きます。ドイツ 、フランス、アメリカ、イギリスはいずれも30Mbpsを下回り、韓国と日本に大きな差がつきました。
4G接続率、通信速度と料金のバランスから、ICT総研は日本は料金の割に通信品質が高いと言える、と説明しています。
4. 日本のスマホユーザーWebアンケート
日本のスマートフォンユーザー1,000人を対象に、2020年3月18日から24日に実施したWebアンケートで、サービスエリア、通信速度、料金の3項目について、5段階で満足度を尋ねています。
各項目の満足計(「満足」と「どちらかといえば満足」の合計)は以下のとおりです。
- サービスエリア:66.2%
- 通信速度:61.9%
- 料金:38.1%
この結果をICT総研は、日本のユーザーは通信品質に対する満足度は比較的高く、料金については中程度の満足度となっている、と説明しています。
料金だけでなく通信品質も踏まえた分析が重要、と問題提起
調査結果についてICT総研は、世界的に料金水準と通信品質には一定の相関性があると指摘し、日本の料金は中位レベルだが、通信品質の高さを踏まえると、必ずしも高くないとも考えられそうだとまとめています。
ICT総研は、携帯電話が重要な社会インフラとなっている現在においては、料金水準だけでなく、日本のユーザーの通信品質に対する要求水準も踏まえた分析が必要ではないかとして、菅官房長官が「まだまだ料金は下げられる」と発言するなど、総務省の有識者会議が料金に重点を置いて分析し制度改正することに対して問題提起しています。
Source:ICT総研
Photo:picjumbo
(hato)