チップ製造最大手のTSMC、Huaweiと取り引き続けると発表
まさに“捨てる神あれば拾う神あり”でしょうか。ファウンドリ業界最大手のTSMCは、米政府による輸出規制とは関係なく、今後もHuaweiと取り引きを続けていく構えを示しました。
TSMCは取り引きを継続
TSMCは23日、台湾で開催した年次イベント「TSMC 2019 Technology Symposium」において、Huaweiへの出荷は米政府の行動によって影響を受けていない、と明らかにしました。TSMCは以前にも、当分の間Huaweiに供給を行っていくと公式に発表しており、次々と大手テクノロジー企業が手を切る中、改めて態度を明確にした格好です。
TSMCはiPhoneに搭載されているチップ「A」シリーズを毎年のように独占供給するなど、規模・技術力ともに他社の追随を許さない、業界最大手のファウンドリです。
“自家製”でも複数企業が関係している
Huaweiはハイエンド端末を中心に独自チップ「Kirin」シリーズを搭載しています。多くのメーカーのAndroid端末に幅広く採用されているQualcommの「Snapdragon」シリーズとは異なり、Kirinは子会社のHiSiliconが設計している自家製チップです。そのため、米企業Qualcommから取り引きを停止されても、HuaweiにはKirinを採用するという選択肢があります。
しかし、自家製チップといっても何から何までHuaweiグループ内で完結しているのではなく、デザインや製造では他社と協力しています。Kirinは設計こそHiSiliconですが、デザインのコアアーキテクチャはARMのライセンス下にあり、チップの製造はTSMCが担っています。
ソフトバンク傘下のARMは先日、Googleに続く形でHuaweiとの取り引きを終了すると発表。これによってKirinはARMに頼らないデザインを必然的に要求されることになりました。それだけに製造を請け負うTSMCの出方について、改めて注目が集まっていました。
強気な態度を崩さないHuawei
TSMCこそ取り引きを継続していますが、米中貿易摩擦の高まりに巻き込まれる形で、先述したGoogleやARMのみならず、IntelやQualcomm、Broadcom、パナソニックといった大手企業が続々と取引を停止しており、Huaweiを取り巻く環境は日に日に厳しくなっています。
米政府が半ば温情的に提示した「90日間の猶予措置」について、Huaweiのレン・ツェンフェイ最高経営責任者(CEO)は「意義はほとんどない」と一蹴、自前でやっていけると強気な態度を崩しませんが、四面楚歌の状況が好転する日は来るのでしょうか。
Source:Reuters[1],[2]
(kihachi)