Qualcommとの裁判で判明したAppleの「駆け引き」

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AppleとQualcommとの特許を巡る争いは、和解という形で決着しました。AppleがQualcommに支払った金額を含め、両社間の合意内容の詳細は不明ですが、米メディアWashington Postが、最後の裁判によって明らかになった、AppleがQualcommとの裁判に勝つために行った駆け引きについて記しています。

社内では評価、対外的には認めず

約2年間に及んだ裁判において、AppleはQualcommの技術について、Qualcommが主張するほどの金額を払う価値はないと主張してきました。しかし、和解に至る最後の裁判で公開されたAppleの社内メールやメモには、AppleがQualcommの技術力や特許の価値を社内では高く評価しながらも、対外的には価値を認めず、特許料を引き下げようとしていた様子が記されていました。
 
たとえばAppleは、Qualcommと競合するHuaweiやEricssonと結んだ大量の安価な特許契約をQualcommとの契約と並べ、特許数は約2倍であるのに契約料ははるかに安いとして、Qualcommとの契約は「公平ではない」との主張を展開してきました。

特許料支払いを引き下げるための証拠作りか

しかしこれはQualcommの特許料を高く見せるための戦略で、Appleは数年前から複数の企業と安価なライセンス契約を結び、証拠づくりをしていたという事実を示すAppleの社内メモをQualcomm側の弁護士が入手、裁判で披露しています。
 
米ジョージ・メイソン大学法学部教授で、知的財産保護センター責任者を務めるアダム・モソフ氏はWashington Postに対し、裁判における企業のこうした戦略は珍しくないものの、Appleが裁判所そして独占禁止法を取り締まる機関の面前でQualcommの特許の価値を偽ったのは、悪意があったと判断されるかも知れない、とコメントしています。

 
 
Source:Washington Post
(lunatic)

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この記事を書いた人

元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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