AppleクックCEO「プライバシー保護のためテクノロジー業界に規制は必要」

Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)が、テレビ番組のインタビューでジェンダーの多様性、Appleに1兆円を払うGoogleとの関係などのほか「プライバシー目的でのテクノロジー業界への規制はやむを得ない」との考えを語りました。
ストレスから自身を守る、毎朝1時間の運動
ティム・クックCEOは、Apple Park内で行われたアメリカのケーブルテレビネットワークHBOの報道番組Axiosによるインタビューで、多くの項目にわたるインタビューに応じています。
クック氏は、毎朝4時少し前に起きてユーザーからのコメントを約1時間かけて読み、その後にジムに行って1時間、汗を流すことで、ストレスから自分自身を守ることができているそうです。
「iPhoneなどのApple製品がユーザーの孤独感を生み出しているの懸念はないか」と尋ねられたクックCEOは、iOS12で採用された新機能「スクリーンタイム」が、ユーザーによる使いすぎを防ぐためのものであると語りました。
私たちの役目は、人々に使い方をコントロールするための情報と手段を提供することだと考えています。使用時間は長くても、端末を持ち上げる回数が減った、という情報を知ることができます。こうした機能を、OSに組み込みました。
プライバシー保護のため、テクノロジー業界への規制は不可避
テクノロジー業界へのプライバシー保護のための法規制導入についてクック氏は、規制よりも自由市場のほうが好ましいが、一定の規制は避けられない、との考えを示しました。
私は規制はあまり好きではなくて、自由市場を強く信じています。しかし、自由市場が機能していない場合は、それを認めなくてはいけません。そして、ここ(アメリカ)では機能していません。
私は、ある程度の規制が導入されるのは避けられないと考えています。そのうち、議会と政権が規制法案を成立させるだろうと考えています。
クック氏は、テクノロジー業界は規制を受け入れるべきだ、と以下のように語っています。
これは、プライバシーと利益の対立でも、プライバシーと技術革新の対立でもありません。そうした考え方は間違っています。あなたのデバイスは、あなたについて非常に多くの情報を持っています。しかし、企業がその情報を持つ必然性はないのです。
約1兆円をAppleに支払うGoogleについて
Googleが、iPhoneのSafariで初期設定の検索エンジンとして採用され続けるために、Appleに対して90億ドル(約1兆円)とされる多額の支払いをしていることについて問われると、検索エンジンとしてのGoogleを高く評価しつつ、ユーザーのプライバシーを守るための防護策も張っている、と語っています。
彼らの検索エンジンは最高のものだと思います。しかし、Appleはそれをコントロールしながら導入しています。ブライベートブラウズモードを導入し、高度な追跡防止機能も搭載してユーザーの保護に努めています。これは完璧なものではありませんが、非常に有益なものだと考えています。
なお、クック氏は10月にVICEのインタビューで、GoogleやFacebookがユーザーのプライバシーを使って利益をあげる姿勢を批判する発言をしています。
ジェンダーの多様化で後れを取るテクノロジー業界
シリコンバレーにおけるジェンダーの多様性について問われると、Apple以外のテクノロジー企業も取り組んでいると語り、明るい見通しを語りました。
シリコンバレーは、開放的で多くの背景を持った人々を受け入れてきたと思います。しかし、ジェンダーについて言えば、シリコンバレーは多様性に欠け、テクノロジー業界は全般的に欠けていたという考えに100%同意します。
私たちは、このことに多くのエネルギーを注ぎ、私たち自身に「どうしたらより良くできるか?」と常に問い続け、人々の話に耳を傾けています。
そして、他の人々も同様のことをしていると信じています。この動きに、そのうちに大きく改善されるだろうと私は勇気付けられています。
あと数年で、ARなしの生活は考えられなくなる
Appleが注力するAR(拡張現実)技術についてクック氏は「人間の能力と経験を増幅するもの」と語り、その可能性を強調しています。
また、「数年のうちに、ARのない生活が想像もできなくなるでしょう。ARは、重要なプラットフォームです」と今後さらに重要性が増すとの見通しを示しています。
インタビューの様子の一部は、こちらの動画で見ることができます。
Source: Axios via9to5Mac
(hato)