中国でのApple Store出店計画が鈍化〜詐欺など問題多発により

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    Appleは2015年と2016年にかけて、中国において新しいApple Storeを30店もオープン、積極的な拡張計画を推進してきました。しかし2017年から現在にかけて、わずか5店しか新規開店していません
     
    オンラインメディアThe InformationがAppleの元従業員17人にインタビューして得た情報によれば、官僚主義的な中国政府の規制や介入、転売を目的とした買い占め、横行する詐欺行為、そして中国スマートフォン・ベンダーとの競合などにより、中国におけるApple Storeの売上が伸び悩んでおり、こうした理由が新規開店の速度鈍化を導いているようです。

    Appleを襲ったさまざまな問題

    Appleは2008年に初めて中国・北京にApple Storeをオープン、その後しばらくは売上も順調でした。しかし中国における複雑に入り組んだ規制(事業運営に必要なさまざまな許可の取得に時間がかかる)や税金、時折要求される下級官吏からの賄賂(Appleは断固拒否)といった政府絡みの問題や、多くの小売店の頭を悩ませている新規開店時やプロモーション時の転売を目的とした買い占め、詐欺行為を含む返品、そして中国ベンダーとの競合といったさまざまな問題がAppleに襲いかかります。
     
    買い占めを例に挙げると、2016年にAppleが学生を対象に、MacBook購入者に無料でBeatsヘッドホンを提供するプロモーションを実施した際には、「黄色い牛」と呼ばれる業者が80人もの学生を雇い、2台の観光バスで北京のApple Storeに乗り付け、MacBookを購入するとともに無料のヘッドホンを回収していったとのことです。

    詐欺行為を含む返品や交換

    香港では輸入および輸出に際し関税を課していないことを利用して、香港で大量にiPhoneを購入、中国本土に密輸する行為があとを絶ちませんが、同時に中国でさばけなかったiPhoneを、14日間の返品可能期間中に返品するという行為も横行しています。
     
    そのためAppleは香港において、返品および交換を受け付けない措置で対抗しています。
     
    一方中国では、偽物のパーツに差し替えたiPhoneを新品と交換するという詐欺が行われ、Appleに莫大な損害を与えました。現在Appleは所有者であることの証明が必要なオンライン予約システムを構築し、さらに店頭で簡単に偽物のパーツを検出できる診断システムを導入、詐欺行為を防いでいます。

    中国での近々の新規開店予定はなし?

    またOppo、Vivo、Xiaomiといった中国スマートフォンベンダーの台頭も、Appleの中国における事業展開を難しくしているようです。
     
    元従業員の証言によれば、Appleは2017年に突如中国本土での店舗拡張計画を大幅に変更、その年には3店舗しかオープンしませんでした。Appleは中国国内の各地域にApple Storeを開きたいと考えていたものの、その戦略では利益が出ないと認識したようだ、と元従業員は述べています。
     
    現時点では、中国における近々のApple Store新規開店予定はないようです。

     
     
    Source:The Information via MacRumors
    (lunatic)

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    この記事を書いた人

    元某業界新聞社の記者。その後フリーライターとして各方面で執筆、英日翻訳家としての著書も多数。2014年から本メディアでライター、編集記者として活動中。アメリカ在住(現在は日本に滞在中)。iPhone使用歴は12年以上。

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