Apple、製造コスト削減のためサプライヤーの切り替えを加速

iPhone X iFixit

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Appleが、iPhoneやMacに使用する部品類のサプライヤーを、低価格での納入に対応する中国企業へと切り替える動きを進めているようです。一方、高度な独自技術を持つ企業は強気の見通しを持っており、独自技術の有無が明暗を分けることになりそうです。

製造コストの引き下げを進めるApple

Appleが主要製品であるiPhoneやiPad、Macなどの部品類を発注するサプライヤーとして、中国企業が台頭し、台湾企業は受注獲得が減少している、と台湾メディアDigiTimesが報じています。
 
同メディアによると、近年のAppleは、これまでのハイエンド製品市場中心のマーケティング戦略を転換しつつあり、製造コスト削減を強化しているそうです。
 
そのため、これまで高い製造技術が評価されてきた台湾企業ではなく、低価格が売りの中国メーカーがサプライヤーとして採用されることが増える傾向にあります。
 
Appleからのサプライヤーに対するコスト引き下げの要求は、2016年頃に表面化しており、一部のサプライヤーからは反発も出ていました

iPhoneやMacBook用バッテリー失注で他分野に進出

台湾のバッテリーメーカーSimplo Technologyは、iPhoneやMacBook用バッテリーを納入していましたが、Appleは調達先を中国のDesay Battery TechnologyやSunwoda Electronicに切り替えました。
 
そのため、Simplo Technologyは電動自転車やデータセンターのバックアップ用バッテリー市場に転向し、現在は電動自転車用バッテリーで世界2位のメーカーになっています。

高度な独自技術持つ企業は強気

一方で、iPhoneやMacBookの金属製筐体を製造するサプライヤーとして知られるCatcher Technologyのアレン・フン会長は、「金属製筐体の製造には高度な技術が必要で、参入障壁がかなり高い。脅威になる企業はほとんどないだろう」と泰然と構えています。
 
AppleはMacBook用筐体の調達先の一部を、Catcher Technologyから中国企業Everwin Precision Technologyに変更しましたが、Catcherは中国ブランドの高価格製品用の受注も獲得できている、とのことです。

中国企業と真っ向勝負する台湾企業も

一方、中国企業との直接対決に乗り出す台湾企業もあります。
 
Appleのスマートスピーカー、HomePodなどの組み立てを担当するInventec Appliancesは、2018年末までに中国の南京や上海にある工場の規模を拡大し、製造品質と製造効率の高さを武器に中国企業と戦う方針と伝えられています。

日本企業も淘汰される可能性

DigiTimesの報道は、台湾と中国のサプライヤーに関するものですが、日本企業も他人事ではいられません。
 
2017年末に公開された、Appleへの収益依存度が高い企業ランキングには、ジャパンディスプレイ、日本航空電子工業、シャープなどの日本企業の名前も並んでいます。

 
 
Source:DigiTimes
(hato)

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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