Apple、iPhoneを自動車のキーとして使う技術の特許を申請!実用化も近い?

Apple 自動車 スマートキー 特許 USPTO

Apple 自動車 スマートキー 特許 USPTO
 
iPhoneやApple Watchを持っていれば、車のドアを開け、エンジンを始動できるようにする技術の特許をAppleが申請したことがわかりました。Appleが参画する業界団体の動向を踏まえると、実際に使えるようになる日は近いかもしれません。

iPhoneやApple Watchが「スマートキー」に

「スマートキー」などの名称で、通信機能を持つキーを持っていればドアノブを引くだけで車内に入り、キーを挿し込まなくてもエンジンを始動できる装置が、最近の自動車では一般的になっています。
 
Appleが、iPhoneやApple Watchをスマートキーの代わりに活用する技術の特許を申請したことが、米国特許商標庁(USPTO)が8月16日に公開した書類から明らかになりました。
 
従来のスマートキーについては、ドライバーの持ち物が増えるだけでなく、通信を傍受・コピーされることで自動車が盗まれる可能性がある、との脆弱性が指摘されていますが、Appleの技術はこれらの課題を解決するものとなっています。

複数のアンテナで正確にユーザーの位置を把握

「Enhanced automotive passive entry」(改良された自動車のパッシブエントリー)と題された特許申請書は、2018年2月に受理されています。
 
特許申請書には、車内に設置された長波無線と磁気信号のアンテナが、iPhoneやApple Watchと通信することで、ドアの解錠・施錠やエンジン始動が可能になる、と記されています。
 
Apple 自動車 スマートキー 特許 USPTO
 
複数のアンテナとiPhoneやApple Watchといったデバイスの位置関係を測定し、機械学習と組み合わせることで、ユーザーの位置を正確に検知してドアロックを解除可能です。
 
Apple 自動車 スマートキー 特許 USPTO
 
同じ技術を使って、ユーザーが車両に近づいて来ているのか、離れて行くのかを判断し、近づいてくるなら車内灯を点灯してエアコンを入れ、ユーザーを受け入れる準備に入ります。

iPhoneのワイヤレス充電にも活用可能

デバイスの位置を検出し、エンジン始動の可否を判断するための磁気アンテナとして使われるコイルは、iPhoneやApple Watchのワイヤレス充電にも活用可能となっています。
 
Appleは、コイルを追加することで、電波だけでの通信よりも位置関係を正確に把握可能になる、と説明しています。

Appleが自動車メーカーにライセンス提供?

Appleは試験車両を公道で走行させ、自動運転の研究を進めています。しかし、この特許申請には「自動運転」に関する記述は含まれていません。
 
Appleの特許情報を専門に取り扱う米メディアPatently Appleは、「Appleは自社の開発する自動運転システムと同様、自動車メーカーにこの技術をライセンス提供しようとしているのではないか」と指摘しています。

実用化は近い?Appleが加盟する業界団体の規格と関係か

Appleは数多くの特許を申請しており、そのすべてが製品化されるわけではありません。しかし、今回申請された技術が世に出るのは、近い将来のことかもしれません。
 
Appleが加盟するモバイルデバイスと自動車の連携技術に関する業界団体であるThe Car Connectivity Consortium (CCC)が、今年6月にiPhoneなどのスマートフォンで自動車のドアロックやエンジン始動を可能にする「Digital Key」規格を発表しています。
 
「Digital Key」規格は、iPhoneなどに搭載されたNFC方式の無線通信を利用した強固なセキュリティが特徴で、カーシェアリングやレンタカーなどへの活用が期待されています。
 
なお、Appleに関する正確な情報で知られるアナリストのミンチー・クオ氏は先日、Appleは成長を持続するべく、2023年〜2025年の間に自動車を発売する、との予測を発表しています。

 
 
Source:USPTO, Patently Apple
(hato)

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この記事を書いた人

2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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