Androidをインドに導入した台湾HTCのシェアが急降下
Androidがスマートフォン市場の90%を占めるとされるインドですが、10年前にAndroidをインドに導入した台湾ベンダーHTCは、ライバル社に押され、ほとんど消えかかっていると報じられています。
インドで急速に勢いを失ったHTC
先週、HTCがインド国内の従業員の80%を解雇したことが報道されました。解雇された従業員の中には数名の役員も含まれています。
HTCは「ここに来るまでの道のりは素晴らしいものだった。我々には明るい未来が待っている。組織として、困難から立ち直り、現在するべきことに集中する必要がある」との声明を発表しました。
HTCは、携帯電話以外にも仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、人工知能(AI)など、インドで売り込める技術を持っていると豪語しています。しかしながら専門家は、HTCは密集した市場で生き残るのに必要なものを持っていないかもしれないと懸念を示しています。
HTCのシェアはどのように急降下したのか
HTCは2009年に「Magic」と呼ばれるAndroidスマートフォンをインドに導入しました。当時はApple、Nokiaから強力な競争相手として認知されていました。
HTCは次第にインドで人気ブランドになっていき、2017年2月の報告書では、インド国内3位のシェアを誇っていました。
しかしながら、新規参入者が次々と登場し、2018年3月にはグラフ上では見えなくなるほど出荷台数が減少しました。
インドでは中国ベンダーのXiaomi、Vivo、Oppoが急速にシェアを拡大しており、Xiaomiにいたっては長年インドで圧倒的な位置を占めていたSamsungに並ぶほどに成長しています。
「HTCは昔ながらのユーザーエクスペリンスを求めるHTCユーザーに支持されてきたが、そのような顧客の数は限られる」と、調査企業Greyhound Researchの創設者でCEOのサンチット・ヴィア・ゴギア氏はコメントしています。
マーケティング不足が原因?
専門家は、HTCのマーケティング不足がシェア急降下の原因としています。
「インド市場は非常にダイナミックで、競争率が高い。インドで事業展開したい場合、積極的でなければならない」と、市場調査企業International Data Corporation(IDC)のシニアアナリスト、ジャイパル・シング氏は述べています。
「Xiaomiは非常に積極的である。OppoとVivoもデバイスのマーケティングを行っている。しかし、HTCは市場を読めないでいる。あまりにも沈黙が長すぎた。キャンペーンについて耳にすることが少ない」と、シング氏はHTCのマーケティングが不足していることを指摘しています。
加えて、HTCは店舗販売をうまく行うことができていないとされています。ライバル社は、地元小売店とパートナーシップを組み、サービスセンターを設置したり、体験店舗をオープンしたりと、オフライン環境での販売を強く進めています。
「HTCが小売店で大売り出しをやっているのを見たことがない」と、シング氏は苦言を呈しました。
インドでシェアを伸ばすのに手こずっているのはHTCだけではありません。Appleのインドでのシェアはわずか2%となっており、厳しい状況が続いています。
Source:Quartz India, CMR, Statcounter, Counterpoint Research
Photo:Maurizio Pesce/Flickr
(lexi)