iOS12の「ミー文字」に見た、新たなコミュニケーション体験の可能性

memoji

iOS12 memoji
 
AppleがWWDC 18で発表したiOS12では、新たなアニ文字がアニメーション型絵文字のラインナップとして追加されるとともに、ユーザーが自分に似た顔をデザイン可能な新アニメーション「Memoji(ミー文字)」も発表されました。Apple以前にも似たようなサービスは存在しましたが、同社が採用したことによって、一気に絵文字の新たなスタンダードとなる可能性を秘めています。

従来のアニ文字とは違う

これまでの「アニ文字」は、3D顔認識が可能なTrueDepthカメラを通してiPhoneがユーザーの表情(顔の動き)を読み取り、それをライオンやドラゴンといった非人間的なアニメーションに反映させるというものでした。したがって、あくまでもアニ文字は、ユーザーの感情が投影されているにせよ、ユーザーではない「別のなにか」でした。
 
ところが、iOS12で登場した「ミー文字」は、アニ文字と同様のメカニズムを採用しながらも、ユーザー自身が顔の形や肌の色はもちろん、髪型、アクセサリーなどの細かな条件を組み合わせ、自分そっくりのアニメーションを作成できます(もちろん自分そっくりでなければいけないという制約はありませんが)。つまりミー文字は、非人間的なアニメーションに投影した自分ではなく、自分自身をアニメーションにするというわけです。
 
この点でミー文字は、これまでのアニ文字とは一線を画した次世代型の絵文字と言うことができます。

ミー文字以前にも似たアイデアは存在した

もっとも、ユーザーが自分自身のアバターを作成し、それを絵文字として活用するというアイデアは、Appleが初ではありません。
 
例えば、Snapchatが買収したBitmojiは、用意されたパーツから2Dの自画像を作成し、絵文字として活用できるアプリです。SnapchatやLINEなどのメッセンジャーアプリと連携することで、一般の絵文字と同じようにユーザー同士が送信し合うことも可能です。
 
Bitmojiは世界中で大ヒットし、2017年第1四半期(1〜3月)ではアメリカやイギリスなど5カ国で、最もダウンロードされた人気アプリとなりました。またFacebookも現在、「Facebook Avatar」として同じアイデアをテストしていることが分かっています。
 

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Bitmojiは、一般的な絵文字とLINEのスタンプの中間のような存在に近い。


 
3Dアニメーションタイプの自画像絵文字では、SamsungのGalaxy S9に搭載された「AR Emoji」が存在します。発表されると同時に「アニメとリアルの間を探ろうとした結果、気持ち悪くなってしまっている」という声がメディアから出るなど、決して高い評価を受けはしなかったものの、荒削りながらミー文字に先んじていたことは間違いありません。

そして新たなコミュニケーション体験へ

このように、多くのテクノロジー企業が続々と、ユーザーが自分自身を表現するタイプの絵文字を、自社のサービスに採り入れ出したことによって、これまでとは違った絵文字を用いたコミュニケーションのあり方が消費者の間に浸透していくことは想像に難くないでしょう。
 
とくに、iOSという巨大なプラットフォームを持つAppleが採用したことや、今後3D顔認識機能つきカメラがスマートフォン市場の潮流になっていくことは、新たな流れを作るのに十分すぎるほどです。
 

memoji

Memojiは、自分自身でありながら自分自身ではない


 
ミー文字など、こうしたアバター型絵文字の登場によって、ユーザーは旧来の絵文字のような「自分とは別の何か」にではなく、「自分自身を明白に意味する存在」に感情を表現させる、という選択肢を得ることになります。
 
つまり、今後多くのユーザーは、コミュニケーションにおいて、メッセージをやり取りする相手から「嬉しそうな熊」や「泣いているペンギン」の絵文字ではなく、「嬉しそうな相手」や「泣いている相手」の絵文字を受け取ることになるわけです。
 
ネットワーク上において、相手との距離がぐっと近くなった気がしてきますね。
 
 
Source:MOTHERBOARD,Bitmoji
(kihachi)

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