スティーブン・ソダーバーグ監督がiPhoneのみで「Unsane」を撮影した理由とは

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「オーシャンズ11」や「チェ 28歳の革命」などの作品で知られる、スティーブン・ソダーバーグ監督の最新映画「Unsane」は、銀行職員が自らの意思に反して、精神病棟に収容されてしまうサイコスリラー作品ですが、すべてのシーンがiPhoneで撮影されたことで注目を集めています。有名監督があえてiPhoneで映画を撮った理由は何なのでしょうか?

低予算が理由ではない?

iPhoneのみで撮影され、ヒットした映画は過去にもありました。2015年に製作され、日本では2017年1月に公開された「タンジェリン」は、当時駆け出しだったショーン・ベイカー監督が、3台のiPhone5sのみで全編を撮影し、低予算ながら数多くの賞を勝ち取りました。
 
スティーブン・ソダーバーグ監督は、これまでもハリウッド路線から逸脱したアプローチを幾度もとってきました。「チェ 28歳の革命」は、革命家チェ・ゲバラの生涯を描いた作品でしたが、ソダーバーグ監督はスペイン語での撮影を強く要望したため、ハリウッドからは支持が得られず、結果的にフランスとスペインの配給会社に映画を売り込んでいます。
 
最新映画「Unsane」は、イギリス人女優のクレア・フォイ扮する銀行職員ソイヤー・ヴァレンティーニが、本人の意思に反して精神病棟に閉じ込められ、長年彼女のストーカーだった男が用務員としてその施設で働いていることを発見するという、サイコスリラー作品です。英The Guardianは、今回の映画を売り込むのはそれほど難しくなかったはずとの見解を述べており、低予算がiPhoneを撮影に使用した理由ではないことが伺えます。
 
どのiPhoneモデルが選択されたかは明らかにされていませんが、「Unsane」の撮影には、4K撮影可能なiPhoneと、ShoulderpodのR1 Proが使用されたといわれています。
 

Shoulderpod R1 Pro


 
ソダーバーグ監督は、iPhoneのカメラで映画を撮影したことに関して、Indiewireのインタビューで「これが未来だと思う」との意見を語っています。
 
iPhoneカメラはもちろん35mmカメラの代わりにはなりません。The Guardianによれば、映画は温かみを持つセルロイド製フィルムで撮影されなければならないという人も存在し、いまだに冷徹で解像度の高いデジタル映像に耐えられない観客もいるとのことです。
 
ソダーバーグ監督は、このデジタル映像の冷徹さと、鮮明さを維持したまま被写界深度の浅い映像が撮れる点を考慮し、iPhoneカメラを撮影機器として選んだとされています。方向感覚を失わせる効果を生み出すのが目的のようです。
 
被写界深度が浅いと、背景のイメージもすべてクリアに映像に映り込むため、観客はどの物体に焦点を合わせるかの選択を常に迫られるとのことです。
 
「Unsane」はアメリカとイギリスで3月23日から公開となります。
 

 
 
Source:The Guardian
Photo:iDownloadBlog, Shoulderpod
(lexi)

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