Appleがコバルト市場に乗り込めば、コストが数千億ドル抑えられる

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    リチウムイオンバッテリーに使われる金属コバルトを確保するため、Appleがサプライヤーに頼らず、自分たちで資源会社から直接供給を受ける見通しであることが数日前に報じられました。事情通のアナリストによると、仮にそうなるとすれば、Appleにとって数年間で数千億ドルのコスト抑制に繋がるというのですから驚きです。

    数年スパンで数千億ドルを抑えられる?

    Bloombergによると、Appleが動き出したのは、過去18カ月間でコバルトの価格が3倍に上昇したことが背景にあると言われています。急激な価格高騰は、1台あたりスマートフォンの1,000倍以上もの精製コバルトを必要とする電気自動車(EV)の需要が、世界的に高まりを見せているためと考えられています。
     
    安定した供給が見込めるようになることで、Appleにとってはスマートフォンの製造コスト削減が見込めます。GBH InsightsのアナリストがCNBCに語ったところによると、Appleはコバルトの供給源を確保することで、リチウムイオンバッテリーの製造コストを2〜3%抑えることができるそうです。
     
    たったの数%ではないか、と思うかも知れません。しかし、毎年数億台の製品を世に送り出すAppleにとっては、馬鹿にならない数字です。また、コバルトの世界的な需要増に伴い、今後も原料価格の上昇が持続していくであろうことを考慮すれば、数年スパンで数千億ドルという膨大なコスト抑制の見通しも、そこまで非現実的ではありません。

    コンゴの労働市場を見て見ぬふりできるのか?

    ただ、先述したGBH InsightsのアナリストはCNBCに対し、こうしたAppleの行動を「滑りやすい坂だ」とも指摘しています。つまり、彼らは道徳的・政治的な問題を避けて通ることができるのか、というわけです。
     
    確かに今回、Appleがコバルトの確保に乗り出したことで、同社は少なくとも今後数年間はコストを維持しながら資源を調達できるようになるでしょう。しかし、その一方でコンゴにおけるコバルト市場は、児童労働を含む劣悪な環境によって成り立っているのも事実です。
     
    Appleはこうした事情について「責任ある方法で原材料を調達する」とも述べていますが、構造的とすら言える問題をどのような方法で解決するのか、注目が集まっています。
     
     
    Source:CNBC[1][2]
    Photo:iFixit
    (kihachi)

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    この記事を書いた人

    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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