Apple新作発表会で垣間見られた中国への歩み寄り

先週行われたApple新作発表イベントにて、Appleの中国への歩み寄りに気づいた人はどれだけいたでしょうか?12日に発表されたApple Watchの新モデルであるApple Watch Series 3のプレゼンのなかで、繰り返しWeChatという、中国以外ではあまり知られていないチャットアプリの名前が叫ばれました。
200万あるサードパーティアプリの中から選ばれた「WeChat」
Apple最高執行責任者(COO)であるジェフ・ウィリアムズ氏によって行なわれたApple Watch Series 3の発表では、サードパーティアプリにも対応していることが強調され、そのなかでWeChatのみが幾度もスクリーン上に登場しました。
WeChatとは、中国の深セン市に拠点を置くテンセント(騰訊)が提供しているチャットサービスアプリで、WhatsAppなどのコミュニケーションのみに使われる通常のアプリと異なり、支払い機能や、mini programsと呼ばれるアプリ内のサブアプリをあわせ持つなど、デバイスのOSを侵食してサービスを展開する、いわゆる「スーパーアプリ」の様相を呈していることで知られています。
「スーパーアプリ」WeChatの威力
WeChatが提供するオンライン決済サービスであるWeChat Payは、2017年現在、中国国内で39.51%のシェアを占めており、Alipayに次いで大きな勢力となっています。
一方Appleは、Apple Payの中国でのサービス展開に非常に手こずっており、サービス開始から18ヶ月経った現在もシェアは約1%止まりとなっています。苦肉の策として、中国のApp StoreとApple Musicの支払い方法にWeChat Payを追加するなど、WeChatへの譲歩が続くなか、先週の発表に至ったと見られています。
Apple Watchで中国での挽回を狙うApple
Appleの中国での売上は、2015年第4四半期に前年同期比で99%の増加を記録し、米国に次いで2番目の大きさとなりました。
近年、ソフトウェア部門での不調が続き、ハードウェア部門でも国内メーカーのXiaomiやHuaweiに押され気味のAppleですが、中国市場は現在でもAppleにとって米国、欧州に次いで3番目に大きな国際市場であり、WeChatへの言及は、Apple Watch Series 3で凋落から挽回したいAppleの意図が見受けられます。
Source:The Verge
(lexi)