米入出国時審査、月に5,000人のスマホを捜査。ただしクラウドは対象外
アメリカの税関・国境警備局(CBP)職員は、アメリカに入出国する旅行者のiPhoneなどのスマートフォンを捜査できる権限が与えられているものの、iCloudなどクラウド上のデータにはその権限が及ばない、と長官代理が述べています。
スマホの捜査、2017年2月だけで5,000人、2015年通年に匹敵
オレゴン州選出のロン・ワイデン上院議員は、アメリカに入出国する旅行者に対し、税関・国境警備局がSNSサービスのパスワードを要求するのは「非常に問題がある」との意見書を2月に提出していました。
ワイデン議員は、2017年2月だけで5,000人の旅行者がスマートフォンの捜査を受けており、これは2015年1年間の捜査数に匹敵する、と指摘しています。
CBP職員にはスマートフォンを捜査する権限
税関・国境警備局はこれに対し、「税関・国境警備局の職員には複数の法律により、特別な理由がなくてもスマートフォンを捜査する権限が与えられている。これはテロリズムの脅威や児童ポルノ犯罪から国を守るためだ」、との主旨の回答文書を公表しています。
一方で、税関・国境警備局のケビン・マカリーナン長官代理は、回答文書の中で、「捜査はスマートフォン端末に保存されたデータに限定され、リモートサーバー上だけに存在するデータには捜査権限は及ばない」と述べています。
同氏は、4月に職員向けにガイドラインを制作したものの、内容は保安上の理由により公開できない、とコメントしています。
クラウドにだけ置かれたデータは捜査対象外
Appleは、iPhoneユーザーのデータの保管場所としてiCloudを重視しているほか、多くのユーザーはGmailや各種SNSといったサービスで、クラウドにデータを置いています。
税関・国境警備局の方針がマカリーナン長官代理の発言どおりなら、クラウド上にだけ置かれたデータは捜査対象に含まれないことになります。
Source:AppleInsider, The MacObserver
Photo: アメリカ税関・国境警備局
(hato)