2024年2月15日 サイトリニューアルを行いました。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

    デザイン責任者が語る、MacBook ProのTouch Barに込めた哲学!

    CNET MacBook Pro

    CNET MacBook Pro
     
    1996年からApple製品のデザイン責任者をつとめるジョナサン・アイブ氏が、新型MacBook Proで採用したTouch Barと、その背景にあるデザイン哲学について、CNETのロングインタビューに語っています。

    コンピュータの入力方法の根本から再検討して生まれたTouch Bar

    Touch Barという、一般的とはいえないインターフェイスを採用したことについて、「合理的に思える幾つものコンセプトがありましたが、実用性を考慮すると、あまり説得力がありませんでした」と、多くの案をもとに検討した結果であることを明かしています。
     
    ジョナサン・アイブ氏

     
    Touch Barを通じて実現しようとしたことについて問われると、コンピュータの入力方法のあり方から見直したと語っています。

    デザインチームの視点からは、キーボードとタッチ操作の両方の価値を認識することから始めました。しかし、従来型キーボードには、いくつもの層をなす入力方法が潜んでいました。そこで、複雑な入力方法を、習慣や親しみから切り離すことにしたのです。

    困難を極めたTouch Barの試作プロセス

    Touch Barの試作段階で、アイブ氏のチームはかなりの困難を経験したそうです。

    我々はいつものように、なるべく素早くデザインを進めようとしました。しかし、プロトタイプ製作には、相当に成熟したソフトウェア環境と、高度に洗練されたハードウェアが必要で、アイデアが有益かを見極めるのが非常に困難でした。
     
    タッチ操作と、ディスプレイをベースにした入力方法と物理キーボードの組み合わせという、Touch Barの方向性は、チーム全員が納得していました。
     
    しかし、薄く、軽く、そしてパワフルにしなくてはならない新型MacBook Proとして、どう製品化するかが問題でした。
     
    明確なデザインの方向性が固まっていれば、気楽でいられるでしょう。しかし、妥協なしに最終製品として磨きをかけていくためには、ビッグデータを掘り返さなくてはならないのです。

     
    MacBook Pro Touch Bar

    「妥協したら、その瞬間に製品は価値を失う」

    デザインの観点から、MacBook Proと他のモバイルデバイスとの違いについて問われると、妥協のない製品開発のために注がれた努力について語っています。

    インプットとアウトプットというのは、製品の特質、特徴を定義する、非常に重要な要素です。妥協して究極の製品作りをやめたら、その時点で製品は適切な価値のあるものではなくなってしまいます
     
    オリジナルのアイデアを考える努力と、オリジナルのアイデアを元に検討し実験する努力との間には、興味深い違いがありました。製品を価値あるものにするために、様々なタイプの努力が必要とされました。

     
    MacBook Pro Touch Bar

    MacやiPad、iPhoneのデザインにあたっての哲学は?

    アイブ氏が手がけた、数多くの製品デザインの背景にある哲学として、デザインは見かけを取り繕うものではなく、素材や製法と不可分の関係にある、と強調します。

    形状は材料と切り離せないし、材料の製造プロセスとも切り離せません。それらは一体となって開発されるものだと強く思います。製品は、製造方法と切り離してデザインすることはできません。そこには重要な関係があるのです。
     
    我々は、材料の探索に非常に多くの時間を費やします。ありとあらゆる材料と、ありとあらゆる製造過程を検討します。検討を重ねた結果、我々が導き出す結論がいかに洗練されたものか、知ったら驚くでしょう。

     
    検討内容の具体例を明かすことは「ノー」と断ったうえで、アイブ氏は「20年(1996年、デザイン責任者に就任)から25年(1992年、Appleに入社)、チームで仕事をしてきた中で、最も洗練された例」として固体アルミニウムを挙げ、自社で開発に取り組んだ数種類のアルミニウム合金が、それぞれ異なる製品の筐体に使われていることを明かしています。

    最高の製品を実現するための「変化」だけを追求するデザイン

    Appleの企業文化と言えるフレーズ「Think different」と製品デザインの関係については、目先の変化ではなく、最高の製品を実現するための変化だけを追求する姿勢を語っています。

    単に構造や素材の劇的な変化ということなら、我々は何年も改善と最適解に取り組んでいます。しかし、面白いことに現在のMac以上の構造には行きつかないのです。
     
    チームとして、Appleの中核をなす哲学として、我々は劇的な変化をもたらすことができます。しかし、それだけでは、製品は良いものになりません。
     
    私自身もAppleも以前から語っているように、何か違うことをするのは、比較的簡単で、すぐにできる、誘惑なのです。

    Macユーザーからの期待は製品デザインに影響するか?

    Macユーザーは製品に強い思い入れがあり、製品に多くの期待を持っているが、そのことがデザインに影響するか?と尋ねられると、以下のように語っています。

    良い方向に変わるのであれば、我々は自分たちに制約を設けません。そして我々は、良くならないのに単に変える、ということはしません。

     
    MacBook Pro Touch Bar
     
    また、MacBook Proが、他のPCメーカーのようにタッチ操作をしなかった理由について、改めて問われると、Apple幹部たちへの別のインタビューでも語られた、何年も前にMacBook Proへのタッチディスプレイ採用をやめた決断の内容を語っています。

    何年も前に、マルチタッチ方式の最適な使用方法について検討した結果、Macに採用しても実用的ではないし、最適でもない、と考えたのです。

    その理由についてアイブ氏は、「多くの現実的な理由」とだけ語り、詳細は明かしていません。

    今は表参道でしか見られないTouch Bar搭載MacBook Proの実物

    現時点で、MacBook Proに搭載されたTouch Barの実物を見ることができるのは、日本国内では表参道のApple Storeに限られ、しかもガラスケース越しに眺めるだけです。
     
    Appleの、そしてアイブ氏率いるデザインチームの哲学が結実したTouch Barに触れられるのを楽しみに待ちましょう。
     
    CNET MacBook Pro
     
    CNETの長文インタビュー記事(英語)は、充実した内容もさることながら、ページの凝ったデザインも美しいので、興味のある方はぜひご覧ください。

     
     
    Source:CNET
    Photo:Apple (1), (2)
    (hato)

    この記事がお役に立ったらシェアお願いします
    目次