Apple Carの原点?ジョブズ氏が夢中になった一台の試作車

    V-Vehicle

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    噂されるAppleの自動車開発のきっかけは、故スティーブ・ジョブズ氏を夢中にさせた一台の試作車だったかもしれません。
     
    生前のジョブズ氏がデザインにアドバイスを与えた「V-Vehicle」のことを、英紙ガーディアンが報じています。

    軽量で低価格の「V-Vehicle」

    2010年5月、スティーブ・ジョブズ氏は、一台の可愛らしいデザインの小型車に乗り込んでいました。工業デザイナーのブライアン・トンプソン氏が、「V-Vehicle」の試作車をジョブズ氏に見せるため、パロアルト郊外のジョブズ氏宅へやって来たのです。
     
    V-Vehicle
     
    「V-Vehicle」は、ボディをポリプロピレン樹脂とガラスファイバー製にすることで鉄製ボディより40%軽量化し、製造コストを70%低下させることで、14,000ドル(約150万円)と手頃な価格を実現したガソリン車でした。
     
    ボディパネルは交換可能で、構造にはフェラーリ360やアウディも採用する「スペースフレーム」方式を採用していました。

    ジョブズ氏「素材に正直でいさせるべきだ」

    運転席に座ったジョブズ氏は、後部座席にいた開発者たちを「誰とも一緒にいたくない」と車から出しました。
     
    内装を眺め回したジョブズ氏は、プラスチック製の部品を隠そうとしない方が良いと「素材に正直でいさせるべきだ」と助言しました。
     

    V-Vehicle

    ジョブズ氏の助言を受け、描き直されたV-Vehicleの内装デザイン


     
    また、木材繊維を混ぜたダッシュボードについては「加工の精度の高さが分かるように見せたほうが良い」と、Appleの最高デザイン責任者であるジョナサン・アイブ氏によく伝えるのと同じことを語りました。

    「張り詰めた表面はエネルギーを感じさせる」

    外装については、「張り詰めた表面は、獲物を狙う動物のようなエネルギーを感じさせる。それは無意識のうちに、品質の高さと自信に満ちた印象を与えるんだ」と、細部にこだわるジョブズ氏らしいアドバイスを与えました。
     
    「彼は、何をすべきかは語らなかった。それは僕の仕事だからね。それでも、彼の感性や感覚には深く共感できたし、内装への強い関心を与えてくれた。」と、トンプソン氏は振り返ります。
     
    また、大企業の支援も受けない小規模のチームが、シンプルで上質なデザインの自動車を作ったことにジョブズ氏は感嘆し、「魂がこもっているね」と褒め称えました。

    現在はイタリアでの生産を計画中

    その後、「V-Vehicle」プロジェクトは2015年にLCVキャピタルマネジメント社に買収されました。ジョブズ氏が設立したNeXTコンピュータの元幹部、Tony Bonidy氏らの出資により、イタリアでの生産が計画されています。
     
    ジョブズ氏がデザインに助言した「V-Vehicle」が世に出れば、注目を集めることとなりそうです。

    ジョブズ氏は自動車開発に強い関心

    生前のジョブズ氏が自動車開発に強い関心を持っていたことをAppleの取締役が明かしていますが、「V-Vehicle」を見たことがきっかけかどうかは定かではありません。
     
    テスラモータースのイーロン・マスクCEOが「競合になる」と警戒する「Apple Car」と噂される自動車は、2020年には発売されると見られています。
     
    最近サンフランシスコにオープンしたApple Storeは、自動車ショールームとしての用途を想定しているとの説もあります。

     
     
    Source:The Guardian
    (hato)

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    この記事を書いた人

    2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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