なぜ、iPadのMac化に15年もかかったのか?Apple役員が明かした理由

iPadOS26は、複数のウィンドウを重ねて表示できるなど、操作性がMacに近づいたことが注目を集めています。iPadがMacのように操作できるまで、初代iPadの登場から15年もかかった理由を、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏が語っています。
Macのような操作が可能になったiPadOS26
Appleが世界開発者会議(WWDC25)で発表したiPadOS26は、ウィンドウを自由に配置でき、メニューバーでアプリ操作ができるようになってことで、操作性がMacに近付き、多くのiPadユーザーの期待に応えました。
iPadをMacのように使いたい、という要望は以前から多かったにも関わらず、初代iPadの発表から15年を経るまで実現しなかった理由を、クレイグ・フェデリギ氏が米メディアArs Technicaのインタビューで語っています。

iPadに求められる快適性を失わないために
フェデリギ氏は、IPadをMacのように操作できるのに時間がかかった最大の理由として、iPadがタッチ操作によって動作することを前提としたデバイスであることを挙げています。
タッチ操作から反応までに時間がかかるとユーザーはストレスを感じ、タッチ操作への信頼が損なわれてしまう、とフェデリギ氏は説明しています。
一方のMacは、スクリーンに表示されるアプリは間接的に操作される前提であるため、ユーザーは多少の反応遅れには寛容だったそうです。
iPadの進化、使われ方の変化
初期のiPadは処理性能の制限により、同時に1つのアプリを処理できるだけでした。
しかし、iPadの処理性能は向上し、スクリーンは大型化し、キーボードやトラックパッドをiPadに組み合わせて使うユーザーが増えました。
こうしたハードウェアの進化とiPadの使われ方の変化により、iPadの快適性を維持したまま、Macのような操作を実現することが可能になったことが、iPadOS26での変更につながっているそうです。
ステージマネージャーの提供が限定的だった理由
2022年に公開されたiPadOS16で提供されたステージマネージャーは、iPadの本格的なマルチタスク機能として発表されたものの、対応するのが最新の上級モデルに限られ、数年前のモデルや普及モデルは利用できませんでした。
この理由についてフェデリギ氏は、ステージマネージャー機能の最低ラインとして、内蔵ディスプレイに4つ、外部ディスプレイに4つ、合計8つのアプリが同時に動作することが必要と定義し、ライト版や類似品を提供したくないと考えたから、と説明しています。
iPadOS26、多くを再設計して高度な機能を提供
フェデリギ氏は、ステージマネージャーが利用できなかったiPadでも、iPadOS26ではマルチウィンドウ操作を利用できる理由についても述べています。
iPadOS26では、ウィンドウシステムや、バックグラウンドタスクの処理方法を再設計し、システムの多くを最適化できたそうです。
その結果、ステージマネージャーの導入当時よりも、iPadのパワーを引き出すことに成功し、高度な処理が必要なマルチウィンドウ操作を提供できた、とのことです。
Source: Ars Technica