AirTagのストーカー対策不十分との集団訴訟が進展、米連邦地裁判断
AppleがAirTagに提供する安全対策が不十分でありストーカー犯罪の危険性を高めている、との集団訴訟の一部について、サンフランシスコの米連邦地裁は原告の主張に合理性があるとの判断を下しました。原告は、Appleが1つわずか29ドルでストーカーに「武器」を提供している、と主張しています。
Appleの安全機能には限界、との判断
AirTagがストーカー犯罪のリスクを高めており、AirTagによる犯罪が起きた場合Appleには法的責任がある、と主張する集団訴訟について、サンフランシスコの米連邦地裁が判断を下しました。
米連邦地裁は、30件以上の訴訟のうち3件について、AirTagの安全機能には問題があり、事件を引き起こしている、との原告の主張には十分に合理的であると判断しました。残りの訴訟については原告の訴えを却下しています。
連邦地裁の判事は、カリフォルニア州法がAppleに対してAirTag悪用の危険性を低下するための努力を義務付けなかったのは事実かもしれないが、現段階ではその判断を下すには時期尚早だ、として、原告の主張に妥当性があると認めました。
Appleは、AirTagには業界初の安全対策が施されており、悪用されても法的責任は負わない、と主張していました。
「ストーカーや虐待犯にたった29ドルで武器」
原告は、AirTagがストーカーに悪用される可能性があるとの指摘を受けながらも販売を継続している、としてAppleに法的責任があると主張しています。
また、わずか29ドル(日本では税込4,980円)という低価格で、ストーカーや虐待犯に武器を提供している、としています。
AirTagと同様の忘れ物防止タグを販売しているTileも、ストーカー犯罪の予防策が不十分だとして集団訴訟の対象となっています。
Apple、アップデートでストーカー対策機能を強化
Appleは、AirTagのストーカー防止機能として、持ち主以外のAirTagが一緒に移動している場合にサウンドとiPhoneへの通知で警告する機能を、2021年4月の発売当初から盛り込んでいます。
発売から約1年後、悪用対策を強化し警察と連携する方針を発表し、警告音をより聞き取りやすくするアップデートを実施しています。
AirTagの警告音を無効化して販売し逮捕の事件も
2022年12月にお伝えした、AirTagを悪用したストーカー犯罪に対するAppleの責任を追求する訴訟には、翌年10月には原告団に30名以上が加わっています。
日本では、AirTagの警告音を鳴らないように不正改造して販売した男性が逮捕されています。