警察が「探す」で間違った家に突入、5億5,000万円の賠償金の支払い命令

探す

米コロラド州デンバーで2022年、銃、弾薬、現金を積んだトラックが盗まれる事件があり、そのとき警察はAppleの「探す」から得られた情報を使用して犯人の居場所を特定し、ある家に突入を行いました。しかしながら、これが間違った家であったとのことで、デンバー市は被害を受けた女性に対して376万ドル(約5億5,000万円)の支払いを求められています。

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「探す」は法執行のツールではない

警察の間違った突入を受けたのは78歳のルビー・ジョンソンさんで、彼女は今でも「深刻な身体的および精神的苦痛」に悩まされているとのことです。

元々、トラック盗難事件の被害者の古いiPhoneの「探す」から得られた情報のみで犯人の捜査を行ったのが誤りだったとされており、「アプリは法執行のためのツールとして意図されたものではない」と訴訟内容に記されています。

いったい何が起こったのか?

訴状には、「探す」は、「セルラー、Wi-Fi、GPSネットワーク、Bluetoothからの情報を使って、人々とそのデバイスのおおよその位置を特定する」とありますが、実際には少し異なります。

Appleは「探す」の公式資料で、機能について以下のように述べています。

「探す」ネットワークは、無数のApple製デバイスからなる匿名の暗号化ネットワークで、探し物の捜索に役立てられます。オフラインでも見つけ出せます。近くにあるデバイスが、紛失したデバイスの位置情報をiCloudに安全に送信してくれるので、「探す」でどこにあるか見つけることができます。手伝ってくれる全員のプライバシーを守るため、すべてが匿名で、暗号化されます。

紛失したAppleデバイスやAirTagを「探す」を使って探す

電話の電源が切れているなどの理由で、現在の位置情報を表示できない場合 、「探す」では、デバイスから送信された最後の位置情報、または「探す」ネットワーク上で最後に確認されたデバイスの位置情報が表示されるようになっています。

現在の詳しい位置がわからなくても、「位置情報が見つかりません」と表示されるまでには、最後の情報送信から8日以上経過している必要があるため、あくまで可能性としてですが、警察は過去の位置情報をもとにして窃盗犯の位置の特定を行ってしまったのかもしれません。

警察の中で誰も「探す」に精通している人はいなかったとのことなので、少なくともどのようにアプリが機能するのかを正しく理解してから突入を行ってもらいたかったところです。

Photo: Apple

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この記事を書いた人

ARラボ出身の猫愛好家。往年のMacユーザーで、iPhone使用歴は10年以上。

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