Appleの高額なMRヘッドセットは成功する?元幹部は厳しい評価

apple ヘッドセット

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6月5日より開催される世界開発者会議(WWDC23)では、iOS17や新MacBookのほかにも、目玉製品として複合現実(MR)ヘッドセットが発表される予定です。しかし、MRヘッドセットは高額となることが予想されており、少なくとも現段階では、消費者の関心を大きく引き付けることはないとの見方が主流を占めています。

■3行で分かる、この記事のポイント
1. Appleの高額なMRヘッドセットは成功するのか、元幹部が厳しい評価をしている。
2. 同社はVRや拡張現実分野に参入するための実験的なデバイスの意味合いが強いと指摘。
3. 市場では「Appleらしくない製品」「史上最大の技術的失敗作」との声も。

価格は高くとも45万円ほどか

製品名が「Apple Reality Pro」とも噂されるMRヘッドセットについては、最先端のマイクロ有機EL(OLED)ディスプレイや、8個〜10個の4Kカメラセンサーを搭載しているため、価格は3,000ドル(約42万円)前後になるとの見方が一般的です。
 
サプライヤー事情に詳しいDigiTimesも、8万台湾元〜10万台湾元(約36万円〜約45万円)を予想しており、いずれにせよApple製品の中でもかなり高価な部類に入ることは間違いなさそうです。

出荷台数は見方が分かれる

しかし、この価格の高さがネックとなって、MRヘッドセットがどの程度売れるかについては意見が分かれているのが実情です。
 
例えば先述のDigiTimesは、2023年の出荷台数が20万台〜30万台になると予測しています。一方でTrendForceは、一般ユーザーよりも開発者向けであるとし、年内の出荷台数は10万台にも満たないだろうと指摘しています。
 
ニュースサイトTom’s Guideによれば、Appleは当初ヘッドセットを最終的に300万台販売するつもりだったものの、その後目標を下げて90万台に設定したそうですが、いずれにしてもiPhoneの年間2億台には遠く及ばないでしょう。

Appleの元幹部は手厳しい評価

Appleとしても、今後数年かけて仮想現実(VR)や拡張現実(AR)分野に参入するための、実験的なデバイスの意味合いが強いと考えている節もあります。Bloombergの名物記者マーク・ガーマン氏も、MRヘッドセットはARメガネの通過点に過ぎないとし、Apple自身もヘッドセットで大きく儲けようと考えてはいないと指摘します。
 
ただ、Appleでマーケティング部門の幹部を務めていたマイケル・ガーテンバーグ氏は、Bloombergのインタビューに対して、ヘッドセットがMagic LeapやHoloLensなどの先行するライバル製品と同じ道を歩む、「Appleらしくない製品」「史上最大の技術的失敗作」となる可能性について述べています。
 
ガーデンバーグ氏の見方では、本来Appleはしっかりとした利益率(Tom’s Guideによれば概ね37%とのこと)で数百万台売れるデバイスを作る企業であり、それでも懐の深い開発者やマニアに売りつけるための「実験」をするのは、よほど「何か次の大きなものを求める、社内の圧力が大きいのだろう」とのことです。
 
 
Source:DigiTimes,Tom’s Guide,Bloomberg
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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