Apple、中国でDiDiの取締役会から密かに身を引いていた
フード宅配の「DiDi Food」が5月末をもって日本から撤退しましたが、運営企業の中国DiDi(滴滴出行)の取締役から、Apple役員が退任した、とBloombergが伝えています。
厳しい立ち位置に置かれているDiDi
DiDiの取締役を退任したのはアドリアン・ペリカ氏で、Appleで企業開発担当副社長を務める人物です。この件について、Appleはコメントを控えています。
DiDiは、昨年6月に中国当局の意向に反して米国での新規株式公開を進めて以来、アプリが中国のアプリストアから取り下げられ、上場価値の80%以上を損失するに至っています。同社は今年7月、中国国家インターネット情報弁公室から、データ安全法や個人情報保護法に違反したとして80億2,600万元(約1,600億円)の罰金を科されています。
DiDiはペリカ氏の退任について、公式サイトで非常に短い声明を発表しています。
ペリカ氏とはどのような人物か
ペリカ氏は、2016年にDiDiの役員に就任しました。米中対立が高まる中、中国市場での足場をより確実なものとするため、Appleが同社の配車アプリに10億ドルの投資を行ったのがきっかけです。当時、Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「素晴らしい金融投資だった」と語っています。
Goldman Sachsの元銀行員であるペリカ氏は、2009年にAppleに入社し、クックCEOの直属の部下となりました。
Appleはここ2年間、不透明な経済状況の中で企業買収に対してより慎重な姿勢をとるようになった、と8月初めに伝えられています。
Source:DiDi via Bloomberg, 時事通信
(lexi)