Appleマップがデビュー10周年!ようやく使用に耐えうるようになった?
Appleの純正マップアプリは今月末でサービス開始10周年となります。公開当初はひどい有様だったAppleマップは、ようやく使用に値するようになった、と米メディアThe Vergeがその変遷をまとめています。
発端はGoogleのAndroid OS発表だった?
今では考えられないことですが、iPhoneの黎明期、AppleとGoogleの2社はかなり近しい関係にありました。初代iPhoneが発売されたとき、当時Googleの最高経営責任者(CEO)だったエリック・シュミット氏は、Appleの取締役会のメンバーの1人で、GoogleマップとYouTubeはiPhoneにデフォルトでインストールされていました。
ところが、GoogleがAndroidの開発を始めてから状況は大きく変わっていき、AppleとGoogleのつながりはライバル関係へと変化していきます。あるとき、GoogleがiOSバージョンのGoogleマップで一部機能を制限したことで、逐次表示のナビゲーションが使用できなくなるなどの事態が発生します。Appleは独自のマップの開発を余儀なくされたのです。
アイルランドで公園が空港と記載
2012年9月19日、Appleは純正マップのプリインストールを開始しましたが、それは目も当てられないようなひどい有様でした。ニューヨークの自由の女神像はただの影に近く、アイルランドでは公園が誤って空港と表記されていました。AppleマップはiOS6のイチオシ機能だったにも関わらず、まだ準備ができていなかったのです。
あまりにも出来が悪かったため、Appleマップのローンチから11日後、当時最高経営責任者(CEO)に就任して間もないティム・クック氏は声明を発表せざるを得なくなりました。内容は以下のとおりです。
Appleでは、お客様に最高の体験をお届けできるよう、ワールドクラスの製品を作ることに努めています。
先週、マップを新たに発表しましたが、この約束を果たすことができませんでした。お客様にご迷惑をおかけしたことを大変申し訳なく思っています。マップをより良いものにするために、できることはすべて行っています。
サードパーティーデータの使用がボトルネックに
その後、Appleは位置情報データ企業やGPSスタートアップの買収を行うなど、技術と人材の強化を図っていきました。またiOS7ではサービス向上のためユーザーによく訪れる場所を共有するよう促し、2015年のiOS9では公共交通機関の乗換案内を追加、iOS10ではデザイン刷新でナビゲーションを大きく改善し、iOS11では屋内でのナビゲーションまで追加しました。
それでもAppleマップは、Googleからはほど遠いものでした。最も大きな問題は、自社でデータを有しておらず、サードーパーティーのデータに頼っていたことでした。
2018年のiOS12から自社データを導入
Appleはマップに相当額の投資を行い、2018年のiOS12から自社データをもとにしたマップの再構築を試みました。自社のマッピング車両を導入したり、人が実際に歩いてデータ収集を行う歩行者調査も行い、Appleのバックパックを背負った人も見かけられるようになりました。
Appleの新マップの展開は遅く、導入開始当初、カバーエリアはカリフォルニアのベイエリアのみとなっていました。その後根気よくデータ収集は続けられ、2020年1月には全米が新しくなったマップでカバーされるに至りました。
まだまだ成長の余地はあるとはいえ、Appleマップはリリースから10年が経過し、完全なジョークから多くの人にとってかなり使えるものに変わった、とThe Vergeは記事を締めくくっています。
Source:The Verge
(lexi)