補聴器が小売店で安価で購入可能に〜米政府が新ルールを採用
アメリカではこれまで、耳鼻科での検査を受けて処方箋を受け取った上で、取扱店で補聴器を購入する必要がありました。
しかし米バイデン政権は現地時間2022年8月15日、薬局などで処方箋なしで、一部の補聴器を購入可能にすると発表しました。
新カテゴリーが創設
翌8月16日、米食品医薬品局(FDA)が、「店頭(over-the-counter)で購入可能な補聴器」という新カテゴリーを創設したことを発表、早ければ10月中頃から、処方箋不要な補聴器が店頭で販売開始されます。
新カテゴリーの創設により、補聴器的な機能を持つイヤホン状のデバイスが、数多く市場に投入されるだろうと、米メディアThe Vergeは予想しています。
曖昧になりつつある補聴器とイヤホンの境界線
アメリカにおいて補聴器とイヤホンの境界線はすでに曖昧になりつつあります。2018年にはBoseが初めて「自分でフィッティングを行う」補聴器でFDAの認可を取得、消費者に直接販売する権利を得ました(ただしこの製品は店頭では販売されていない)。Boseは2021年に補聴器の販売を開始していますが、2022年春に販売を終了、ヘルスケア部門も解散しています。
このほかJabraも「聴力を補完する」イヤバッドを販売中です。
AppleのAirPods Proには「会話を強調」という、会話を聞き取りやすくする機能がありますが、これも軽度の難聴を持つ人に役立ちます。
AppleはAirPods Pro(第2世代)を近く発売するとの噂もあり、新製品では「会話を強調」機能が向上する可能性もあります。
補聴器のような機能を持つ、補聴器よりも安価なイヤホンの登場は、聞き取りにくさの問題を抱える多くの人の助けになるでしょう。しかし聴覚学者は、補聴器の購入には専門家による診断や調整が必要だとし、店頭で手軽に補聴器が購入可能になることに懸念を示しています。