Apple、蘭当局から6度目の罰金〜出会い系アプリのサードパーティー決済巡り

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オランダの規制当局である消費者市場庁(ACM)は、依然としてApp Storeが同庁の要求基準を満たしていないとして、Appleに計6度目となる制裁を科したと発表しました。

罰金額は総額3,000万ユーロに

ACMの定める基準を遵守していないとして、同局は遅延金として、新たに500万ユーロ(約6億4,000万円)の制裁をAppleに科したことを明らかにしました。
 
Appleが500万ユーロの制裁金を支払う羽目になったのはこれで6度目となり、総額で3,000万ユーロ(約38億円)に上ります。Appleが基準を満たさない場合、ACMは毎週罰金を上乗せしていくと発表していました。

サードパーティー決済の導入に障壁

問題となっているのは、App Storeで公開されている出会い系アプリの決済手段です。ACMはオランダ内での出会い系アプリについて、Appleに拠らないサードパーティーの決済システムを認めるよう、同社に命じていました。
 
Appleはこの命令に応じる方針を示しており、サードパーティーの決済システムを使用するか、課金用の外部Webサイトにリダイレクトするかを、デベロッパーが選択できるようにしたと発表しています。
 
ところが、現時点ではオランダ独自の仕様となるため、サードパーティーの決済を望む場合、デベロッパーはオランダ向けのアプリ・バイナリファイルを追加でAppleに提出しなければなりません。そのため、手間とコストがかかることを望まない開発者たちは、従来のApple課金システムを使い続けるほかなく、同社に対して批判の声が集まっていました。

Appleは「コストかからず」と反論

今回のACMによる制裁もこうした批判に沿ったもので、同局は「AppleからACMの要件に適合するような新たな提案を受け取っていない」と述べ、煮え切らない態度で時間を稼ぐAppleの“戦術”を「まともな提案を出すことを拒否している」として問題視しています。
 
一方、Appleはオランダの法律に準拠しているとし、バイナリアプリの追加提出は「デベロッパーにとって複雑でもコストがかかることでもない」と、ACMに対して書簡で反論したことが明らかになっています。
 
Appleの使う「単純な前提条件」や「小規模な技術的変更」といった文言は、多くのデベロッパーが依然としてAppleの決済システムを利用し続けている現実とズレがあるようにもみえます。
 
議論が平行線のまま罰金だけが積み上がっていく状況を、ACMもAppleも、そしてデベロッパーたちも望んでいないのは明らかで、最終的には法廷での決着となる可能性も大いにあるでしょう。
 
 
Source:MacRumors,TechCrunch
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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