納税アカウント作成に顔認証義務、炎上で見直しに〜米国

未来のsiri

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徴税に顔認証を使うことは許されるか――プライバシーや人権などを理由とした、全米各地からの批判を受け、日本の国税庁に相当するアメリカ合衆国内国歳入庁(Internal Revenue Service)は、公式システムで顔認証なしでもアカウント作成できると公式発表しました。

超党派の紛糾に

IRSが批判を浴びたのは、同庁が2021年11月に税金の支払い手続きシステムに導入した顔認証が、サードパーティーによる開発だとして注目を集めたことがきっかけでした。
 
顔認証システムを手掛けたスタートアップ企業のID.meは、これまでにも官公庁のサービスを請け負っていました。しかし今年に入り、米国自由人権協会(ACLU)が「有色人種の認識精度が低い」として問題視、そこから民間業者と国が生体認証情報を共有する危険性へと議論が発展しました。最終的には議員からも超党派で批判が起きたことで、IRSは2月上旬に顔認証システムの導入を見直すと発表していました。

システムを大きく見直し

納税者には今後、自撮り写真の提供ではなく、捜査官とのライブ面接による本人確認が選択肢として提示されるようになります。引き続き顔認証を選択肢として選ぶことも可能ですが、アカウント作成のために提出された顔写真は保管されません。
 
また今回の発表以前に収集された顔認証データは、データベースから数週間以内に削除されるそうです。認証システムも米国共通役務庁(GSA)が運営する、Login.govへと今後切り替わる予定です。

顔認証にまつわる課題

顔が唯一無二であることは誰でも直感的に分かるため、生体認証としてウケがいいことは確かでしょう。実際に精度が高いことも事実です。例えば、AppleはiPhone Xで顔認証(Face ID)を導入した際、Face IDの誤認識率は100万分の1だとして、5万分の1であるTouch IDよりも圧倒的に認証精度が高いとアピールしていました。
 
しかし、実際にこの技術が世間に広まると、公平性の問題が頭をもたげるようになりました。確かに精度それ自体は高くとも、アルゴリズムは白人と黒人を同程度に正しく認識してくれないのです。
 
Googleが黒人をゴリラとタグ付けした事件は未だに尾を引いていますし、サムネイルで白人男性が優先的に表示される傾向が発覚したTwitterは、アルゴリズムの大幅な見直しを迫られています。
 
 
Source:ArsTechnica,WIRED
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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