TikTokの買収騒動、MicrosoftのCEOが「最も奇妙な出来事だった」と回顧

    Microsoft サティア・ナデラCEO

    Microsoft サティア・ナデラCEO
     
    今から思えばまるでジョークのような出来事でしたが、当時は真剣に検討されていたものの一つに、MicrosoftによるTikTokの買収案があります。この時に米ドナルド・トランプ前政権から受けた圧力を、Microsoftのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)が振り返りました。

    「私がこれまで取り組んだ中で最も奇妙な出来事」

    世界的なテクノロジー会議Code Conferenceにて、Microsoftのサティア・ナデラCEOが登壇し、TikTokの買収騒動について振り返る場面がありました。ナデラCEOは「私がこれまで取り組んだ中で最も奇妙な出来事」だとし、Microsoftにとってどのような価値があるかという質問に対して「ちょっと興味をそそられた」と笑いながら答えました。
     
    ByteDanceの背後に中国政府がいるとして、米トランプ前政権はByteDanceとTikTokを切り離すよう圧力を掛けました。これによってTikTokはサービスを継続するため、期限内に売却先を見つけなければならず、MicrosoftOracleへの打診が行われました。
     
    インタビューの中で、ナデラ氏は「TikTokが我々のところに来たのであり、我々がTikTokのところへ行ったのではない」と強調しながらも、仮に買収が実現すれば「興味深いパートナーになっただろう」とも述べました。「ソーシャルメディアへの投資、とくにコンテンツの制御や子どもの安全のために取り組んでいる姿勢」と、米国を拠点とするクラウドサービスプロバイダである点が、トランプ政権のお眼鏡にかなうと考えられていたそうです。

    「すべてが無意味と成った」

    しかし、裁判所からの相次ぐ差止め命令のあと、トランプ政権からバイデン政権に変わると売却命令は撤回されることとなります。
     
    ナデラ氏は「米国政府が特別な要求を通そうとしてくるのだと思っていた時期があったが、雲散霧消してしまった」と述べ、Microsoft(おそらくOracleも同じ気分でしょうが)は放り出された気分になったと述懐しました。「トランプ大統領は何を成し遂げようとしていたのか、何らかの視点を持っていたはずなのだが、それが忽然と消えてしまったのだ」
     
    MicrosoftとTikTokとの交渉が挫折したあと、ナデラ氏はTikTokとOracleの間で何が起こっているのか追跡調査はしていないと述べました。ときにジョークを交え、笑いながら穏やかに話すナデラ氏でしたが、「すべてが無意味となった」「現状に満足しているため買収は検討していない」と話す彼の言葉に、トランプ前大統領に振り回された苛立ちを感じるのは筆者だけではないでしょう。
     
     
    Source:The Verge
    (kihachi)

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    この記事を書いた人

    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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