Armの一極支配は終了へ?Appleも人材を募集するRISC-Vアーキテクチャが台頭

電子回路の画像

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Armの製品は、ほぼすべてのスマートフォンのCPUコアとして採用されるなど、非常に高いシェアを持っています。しかしながら、Armを採用するのにはロイヤリティー料が必要だったり、政治的な問題で使えなくなる不安があったりするため、近年RISC-VというオープンなCPUアーキテクチャに注目が集まっています。
 
AppleもRISC-V関連の人材を募集するなどRISC-Vの市場は近年大きな広がりを見せており、RISC-Vのシェアは2025年までに大きく上昇することが期待されるそうです。

伸びるIP市場を支配するArm

半導体チップを設計する際、通常すべての回路を1から設計することはなく、Intellectual Property(IP)と呼ばれる他社が設計した部品を一部または全体に使用することがほとんどです。
 
このIP市場は半導体製品がさらに広く使われるようになるにつれて拡大を続けるとみられ、調査会社のCounterpointによると2025年までに平均で年率11%の成長を遂げて86億ドル(約9,454億円)の市場に発展するといわれています。
 
世界のIP市場の動向とArmのシェア、RISC-Vの台頭の画像
 
そのなかで大きなシェアを持っているのがArmで、市場の3分の1を超える37%のシェアを持っています。
 
特にスマートフォンのCPUコアとしてはほぼ独占状態です。

コストとリスクが低いRISC-Vに注目が集まる

しかしながら、Armはこのまま安泰とはいかないようです。
 
まず、ArmのIPを使用するにはライセンス料が必要であり、コストが生じます
 
また、Huaweiがアメリカの制裁で規制を受けたように、政治的な要因である日突然Armの技術が使えなくなるリスクも考えられます。
 
さらに、IPのなかには詳細な設計が公開されていないものも多く、セキュリティ上の不安があるという点もリスクの1つです。
 
このため、注目されているのがオープンソースライセンスで提供されているRISC-Vアーキテクチャです。
 
特に中国では注目度が高く、RISC-Vのプレミアメンバーの70%以上が中国関連であるといわれています。
 
また、AppleがRISC-V関連の人材を募集したり、IntelもRISC-VアーキテクチャのCPUコアを同社のプラットフォームに採用したりするなど、全世界で採用が進んでいます。
 
RISC-Vが大きなシェアを取るとみられる分野はIoT、産業、自動車の分野で、それぞれ2025年には28%、12%、10%のシェアを握るとみられているとのことです。
 
気が付くと身の回りの電気機器がRISC-VアーキテクチャのCPUコアを使ったもので占められていた、という日がやがて来るのかもしれません。

 
 
Source: Counterpoint
(ハウザー)

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この記事を書いた人

本職はSoCの設計者。このためPCやスマホのHW/SW両方に造詣が深く、その知見に基づいた記事を執筆している。スマホ歴はiPhone4→(Android)→iPhone XR→13 Pro。

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