Apple従業員ら、ティム・クックCEOらに公開書簡。労働者の権利保護を要求

    Apple Park AppleEvent 2020年11月

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    Appleの従業員グループが、性差別やハラスメントなどの問題を指摘している「#AppleToo」ムーブメントのWebサイトに、ティム・クック最高経営責任者(CEO)ら首脳陣に対する公開書簡が掲載されました。

    Appleの労働環境問題を告発する「AppleToo」

    #AppleToo」ムーブメントは、Appleの元エンジニアと現職のエンジニアが開始し、職場におけるハラスメント、性差別、人種差別などの問題を告発しています。
    最近では、アメリカの独立行政機関、全国労働関係委員会(National Labor Relations Board:NLRB)が調査に乗り出しています

    Apple首脳陣に問題改善への取り組みを求める

    現地時間9月3日に「AppleToo」Webサイトに掲載された「ティム・クックと首脳陣へ」と題された公開書簡は、以下の書き出しで始まっています。
     

    Appleは、多様性、平等、誰もが最高の仕事ができる環境への取り組みを誇っています。しかしながら、実際はかけ離れた状態です。ハラスメントや差別を担当する人事チームの対応によって、私たちの多くはより弱い立場に置かれています。

     
    AppleToo 公開書簡
     
    公開書簡では、Appleはプライバシーを重視している一方、従業員が休職や障害などへの配慮を希望すると2年間にわたる医療記録の提出を求められ、プライバシーが侵害されていると指摘しています。
     
    また、数百人がいじめや差別、ハラスメントを人事チームに報告しているものの、改善が図られていないため、問題を明らかにすることで改善に役立てたい、と説明しています。

    従業員の権利保護を求める公開書簡

    公開書簡には、Appleに改善を求める以下の要望が記されています。
     
    AppleToo 公開書簡
     

    • 従業員のデジタルデータの仕事用とプライベートの分離:Appleの従業員は、仕事用のiCloudアカウントに個人アカウントを連携させるよう強く「推奨」されるそうです。これにより従業員はプライバシーを侵害されている、と主張しています。
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    • 公平で公正な給与制度:人種や障害、同性愛か否かによるバイアスのない、透明性の高い給与制度の実現を求めています。
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    • 医療情報の取り扱い:Appleが従業員の健康や障害などの医療情報の管理を委託しているSedgwickには従業員から多くの不満や訴訟が提起されており、信頼を置いてよいのか疑問だ、と指摘しています。
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    • 契約社員と人材派遣会社:Appleの契約社員は給与を含めて労働者としての権利が保障されていない、として正社員と同等の医療、休暇、福利厚生を提供するよう、人材派遣会社への管理を強化するよう求めています。また、多くの従業員が正社員になることが望ましい、と期待を述べています。
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    • 内部告発窓口:従業員の内部告発を受ける窓口を委託しているNAVEX Globalは、苦情を無視したり却下しており、従業員を保護していない、と批判しています。
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    • 経営陣、人事チームへの公正な監査の実施:Appleのイメージではなく労働者の権利を保護するため、公正な第三者による監査を実施し、差別やハラスメントなどの再調査を求めています。
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    • 従業員の声に耳を傾ける透明性の高いプロセス:従業員が安心して意見を表明できる体制の構築を求めています。

     
     
    Source:AppleToo, AppleInsider
    (hato)

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    この記事を書いた人

    2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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