巨大テック企業の規制強まっても、Appleへの影響限定的〜アナリスト指摘
欧州連合(EU)を筆頭に、世界各地で巨大テック企業への締め付けが強まっています。従来のような巨額の罰金にとどまらず、独占禁止法(反トラスト法)の観点から具体的な規制法案が検討されています。しかし米国について言えば、Appleのような巨大テック企業の構造改革をもたらすまではいかないかも知れません。
提出された規制法案は腰砕け?
Wedbush証券によると、米国で続々と独占禁止法に基づいた新法案が議員たちから提出されているにもかかわらず、投資家はリスクだとは考えず、醒めた目で見ているようです。事実、同社で主席アナリストを務めるダニエル・アイブス氏によると、提出された法案の内容とは裏腹に、Appleを始めとした巨大テック企業の構造が大きく変わる可能性は低いだろうとのことです。
6月上旬、複数の米議員がいわゆる“GAFA”(Google、Amazon、Facebook、Apple)を標的とした、反トラスト法案を提出しました。この法案では、オンラインアプリストアでの公平な競争、公式アプリのプリインストールに対する制限などが規定されており、先行するEUに追従した格好です。
しかし、アイブス氏は「見た目ほどには怖くない」と一蹴します。現行の独占禁止法が改正されない限り、せいぜい罰金やビジネスモデルの調整に留まる可能性が高いうえに、議員の間でもコンセンサスが得られておらず、“腰砕け”、つまり現在の法案推進は壁にぶつかって勢いを失う公算が大きいためです。
App Storeのビジネスモデルは簡単に崩れない
また、アイブス氏はAppleについても具体的に言及、App Storeが大きく改善を迫られるようなことはないだろうとの見解を示しました。
上述の法案だけでなく、現在AppleはEpic Gamesとの裁判に直面しており、App Storeで公開された課金アプリから手数料を強制的に徴収することの是非について争っています。プラットフォームの方向性を決定づける裁判として注目が集まっていますが、アイブス氏は「法廷でも政局でも、App Storeは非常に堅牢な堀を有して」おり、同ストアのビジネスモデルが簡単に崩れるようなことはないだろうと見ています。
しかもAppleは独占禁止法絡みで問題視されているとはいえ、FacebookやGoogleと比べれば“傍流”に過ぎないことも確かです。Googleは現在、米司法省から独占禁止法違反で訴えられています。巨大テック企業を相手取った同省の大型訴訟は、Windowsが問題視されたMicrosoft以来です。
Wedbush証券はこうした状況を踏まえ、2021年後半におけるテック企業の株見通しを「非常に強気」としました。アイブス氏は、独占禁止法の脅威が取り沙汰されながらも、年後半でテック企業株がさらに約15%上昇すると見込んでいます。
Source:AppleInsider
(kihachi)