Apple、2020年秋にA12やA13チップの仕様を変更していた

    A13 / MacRumors

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    Appleが、A12、A13、S4、S5プロセッサの仕様を2020年秋に変更していたことが分かりました。変更はセキュリティ強化を目的としたものですが、発売後に製品のプロセッサを変更するのは異例です。

    2020年秋にA12やA13などのセキュリティを強化

    Appleのセキュリティ関連のサポートページで、2020年秋にプロセッサの仕様を変更したことを示す以下の記述を、セキュリティチップ企業Tangemの共同創業者であるアンドリュー・パンテュキン氏が発見しました。
     

    2020年秋に発売された、A12、A13、S4、S5を搭載した製品には、第2世代のSecure Storage Componentを採用しています。以前の製品には、第1世代のSecure Storage Componentが採用されています。

     
    Secure Storage Componentは、情報保護とTouch IDおよびFace IDによるユーザー認証に使われるSecure Enclaveの内部で、機密性の高いデータを保存するのに使われます。
     


     

    対象製品の説明に不明な点も

    2020年秋に発売され、A12、A13、S4、S5プロセッサを使用する製品としては、iPad(第8世代)、Apple Watch SE、HomePod miniが該当します。
     
    しかし、Appleのサポートページの記述にはおかしな点がある、とMacRumorsは指摘しています。
     
    A13プロセッサは2020年2月発売のiPhone SE(第2世代)に搭載されていますが、2020年秋に発売された製品にA13プロセッサは採用されていません
     
    もしAppleの説明が、2020年秋以降に上記のプロセッサを使って製造された製品という意味なら、該当する製品はiPhone XR、iPhone11、iPhone SE(第2世代)、iPad mini(第5世代)、iPad(第8世代)、Apple Watch SE、HomePod miniとなります。
     
    Apple Support Secure Enclave
     
    また、Appleのサポートページに掲載された表では、第2世代のSecure Storage Componentを採用したS4プロセッサについての説明が漏れています。なお、S4プロセッサを搭載したApple Watch Series 4は、2019年秋に販売が終了しています。
     
    2020年秋以降に発売された、A14プロセッサを搭載したiPhone12シリーズ、S6プロセッサ搭載のApple Watch Series 6、そしてM1プロセッサ搭載のMacには、第2世代のSecure Storage Componentが採用されています。

    現役製品のチップを変更するのは極めて異例

    MacRumorsは、Appleが現役の製品のチップを変更するのは極めて異例である、と指摘した上で、これはA14やS6といった最新のチップを搭載した製品以外の、比較的新しい製品にも高いセキュリティを提供したいというAppleの方針を示しているのだろう、と指摘しています。
     
    具体的な目的としては、各国の捜査機関が導入しているGrayKeyのような、iPhoneを強制的にロック解除できる装置への対抗策として、Secure Storage Componentのアップグレードが行われたのではないか、と推定しています。
     
     
    Source:Apple, MacRumors
    (hato)

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