iPhoneなどロック解除できるツール、全米で2,000以上の捜査機関が導入

Cellebrite


 
iPhoneを始めとしたスマートフォンをロック解除できる特殊なツールを、全米で2,000以上の捜査機関が導入していることが分かりました。

FBIとの応酬で対立表面化

iPhoneのロック解除問題は、2015年にカリフォルニア州で発生した銃乱射事件で、AppleFBIの要請を拒絶したことで表面化しました。政府当局はバックドアを設けるよう要求してきましたが、Appleはユーザーのプライバシーを尊重する方針のもとに拒否しています。
 
しかし犯罪捜査の手掛かりをスムーズに得るには、容疑者のスマートフォンの捜査が不可欠です。そのため、米国や日本を含む世界各国の捜査機関がこぞって、CellebriteやGreyShiftといった民間企業が提供するロック解除装置を導入してきました。2020年前半の時点で、これらの装置を使えば、iPhone11シリーズまでならAppleを頼らずともロック解除できることが分かっています。
 
非営利団体が調査を行ったところ、米国では国内50州で2,000以上の捜査機関がスマートフォンをロック解除できる装置を導入していることが判明しました。また装置を所有していない地域の当局も、スマートフォンを州や連邦の研究施設に送ることで解除に漕ぎ着けているようです。

バックドア設ける働きかけ強める

基本的にはGrayShift製のGrayKeyが用いられ、これまで数年間に渡って数万ドルが支払われてきたそうです。GrayKeyで解除できない場合は、Cellebriteに回され、スマートフォン1台あたり2,000ドル(約21万円)の手数料を支払って解除していることも判明しています。なお、テキサス州ダラスの警察署では、Cellebriteから150,000ドル(約1,570万円)でプレミアムツールを購入しているそうです。
 
とはいえ、こうした解除には国民の税金が支払われているのも事実です。そのため、米トランプ政権はAppleやGoogleなどに対してソフトウェアでバックドアを設けるよう義務付ける働きかけを行ってきました。
 
米司法省は10月にも、 機密活動で協力し合う「ファイブアイズ」参加5カ国(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)と日本、インドを加えた7カ国で、改めてバックドアの採用を求める声明を発表したばかりです。
 
 
Source:NYT,AppleInsider
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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