米連邦判事「TikTokのダウンロード禁止措置は法の範囲を越えている」

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    トランプ政権TikTokのダウンロード禁止措置を求めている件について、米地方裁判所の判事が「法律で認められた範囲を越えているのではないか」との判断を示しました。

    延期に次ぐ延期

    ByteDanceが運営する人気動画アプリTikTokのダウンロード禁止措置は、米企業による買収が完了し安全保障上の懸念が払拭されない限り、20日より発動される予定でした。これを受けてByteDanceはOracle及びWalmartとの業務提携案を発表、発動は27日まで延期されていました。
     
    米連邦裁は「ダウンロードが禁止されると多くの新規ユーザーが不利益を被る恐れがある」とし、トランプ政権に再考を求めていましたが、米司法省は「国防緊急事態の最中において、外国企業との企業間取引を抑制する、大統領の権限を侵害するものだ」と禁止措置を取り下げるつもりがないことを明らかにしたため、27日にコロンビア特別区の米地方裁判所で審理が開始されました。審理にあたって連邦判事がTikTok側の差し止め請求を認めたことを受け、ダウンロード禁止措置の一時的な延期が決定しています。

    IEEPAの範疇を超えている?

    カール・ニコルズ連邦判事は延期にあたって、トランプ政権のダウンロード禁止措置が国際緊急経済権限法(IEEPA)で認められた範疇を超えていると意見を述べました。IEEPAは、米国の国防や外交、経済政策を脅かす、国外からの異例かつ甚大な脅威に対し、大統領が強権を発動できることを認めた法律です。この法律に基づいて、大統領は脅威に関連する資産の凍結や為替取引を停止させることができます。
     
    しかしニコルズ判事によると、仮にTikTokが安全保障上の脅威だとしても、IEEPAをTikTokに適用するのは無理があるそうです。この法律は、価値あるものの転送とは関係のない情報や資料の輸出入、個人間のコミュニケーションの規制や禁止を認めてはいないからです。知っての通り、TikTokは個人利用を前提としたSNSで、安全保障上の価値が直接的にあるわけではありません。

    判事はTikTokの言い分を支持

    ニコルズ判事は「禁止の最終的な目標は、TikTok上のデータへのアクセスやコンテンツを歪なものにしようとする中国を排除し、国の安全を守ることだろう」としながらも、「原告(TikTok)の言うとおり、この禁止は個人間のコミュニケーション、情報や資料の交換を間接的に規制するものだ」と述べ、差し止め請求を行ったTikTokを支持する判断を下しました。この他にも、あたかも中国政府がTikTokを所有しているかのような印象づけをトランプ政権が行っていることについても疑問を呈しています。
     
    ひとまず11月12日まで禁止措置は延期されたものの、次回の禁止措置ではTikTokを使えないようにするため、米キャリアに同アプリのトラフィックを遮断することが盛り込まれる見込みで、同アプリを取り巻く状況は依然として厳しいものであることに変わりはありません。いずれにしてもByteDanceはTikTokの買収先を期限までに探す必要があります。
     
     
    Source:AppleInsider
    (kihachi)

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