EUがSiriなどの音声アシスタントを独禁法で調査〜最大で数千億円の制裁も

macOS Catalina Siri

macOS Catalina Siri
 
SiriやAlexaといった音声アシスタントシステムが健全な競争を阻害しているのではないかとして、EUの欧州委員会が独占禁止法に基づいてAppleなどを調査していることが分かりました。独占禁止法に抵触していると判断された場合、数千億円規模の制裁が科される可能性もあります。

制裁額は最大26億ドル

欧州委員会による問題視は、AppleやGoogleが自分たちの巨大なプラットフォームを利用して、他社を不当に阻害しているのではないかといった疑いに基づいています。Bloombergによると、SiriやAlexa(Amazon Echo)、Google Assistantといった音声アシスタントによって入手したデータを、各社が自社の立場強化に利用しているかどうかが焦点とのことです。
 
Appleについて言えば、同社と契約する複数の業者がSiriの性能改善のため、ユーザーの音声録音を聞いていたことや(発覚後にAppleは音声分析の停止を発表)、Siriと公式アプリが優先的に紐付けられている状況が問題視されてきました。
 
今後IoT分野が更に発展していくことを踏まえ、欧州委員会のマルグレーテ・べステアー氏は「開かれた市場にしたいなら、相互運用性(Interoperability)こそが鍵だ」と述べ、音声アシスタント分野で先行する企業が取り決めに反したり、競争相手を阻害したりするためにデータの掌握を悪用すべきではないと強調しました。
 
調査の結果、音声アシスタントを提供する企業が独占禁止法に抵触していると判断されれば、その企業は全世界における収益の最大10%が罰金として科されることになります。Appleの場合、2019年度の収益(会計年度)はおよそ260億ドル(約2兆7,870億円)だったため、このうちの10%にあたる26億ドル(約2,780億円)が最大で科される計算です。

Appleも対応

もちろん、Appleもこの状況を黙って見ているわけではありません。
 
今年のWWDCでは、HomePod上でApple MusicだけがSiriと特権的に紐付けられている現状の改善が約束され、Spotifyなどのサードパーティーにも開放される旨が明らかにされました。また、iOS14でもApple公式の「探す」アプリがサードパーティーアプリに対応する予定です。
 
 
Source:PhoneArena,Bloomberg
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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