米銃撃事件犯のiPhone、FBIがロック解除〜アルカイーダとのやり取り発見
2019年12月に米フロリダ州で発生した銃乱射事件(ペンサコーラ銃撃事件)の犯人が所有していたiPhoneについて、FBIがパスワードによるロックの解除に成功したことが明らかになりました。
FBIのロック解除要請を拒否するApple
2016年に米カリフォルニア州で起きた銃乱射事件(サンバナディーノ銃撃事件)をきっかけに、AppleはFBIとの対決姿勢を隠そうとしなくなりました。FBIを始めとした政府当局は、iPhoneにバックドアを設けるよう働きかけていますが、Appleは断固拒否しています。ユーザーの預かり知らぬところで第三者が端末に侵入可能なバックドアの導入は、ユーザーのプライバシーを侵害する行為に他ならないというのが同社の言い分です。
しかし、FBIは判明しているだけでも過去に2度、Appleにロック解除を断られたのち、自分たちで銃乱射犯が設定したiPhoneのパスワードを突破しています。1つ目が先述のサンバナディーノ銃撃事件、そして2つ目が今回のペンサコーラ銃撃事件です。
解除の方法は民間ツール使用か
ロック解除に漕ぎ着けた方法をFBIは明らかにしていませんが、GrayshiftやCellebriteなどの民間企業が提供するロック解除ツールや、iOSの脆弱性を利用した可能性は高いでしょう。とりわけCellebriteのツールについては、米国はもとより日本やスコットランドなど、世界各地の捜査機関が利用していることが分かっています。
とくに犯人が所有していたモデルはiPhone5とiPhone7で比較的古いため、解除に2カ月以上を要するiPhone11ほど難儀ではなかったと考えられます。例えば、iOS11.4.1以降はiPhoneがロックされてから1時間が経過すると、USB機器を使った端末内へのアクセスをブロックするモードが搭載されていますが、iPhone5はiOS11に対応していないため、USBで接続を試みるロック解除ツールでのアクセスが最新iPhoneに比べて容易です。
さらにCNNによると、問題のiPhoneをロック解除した結果、犯人が国際テロ組織アルカーイダと関係を持っていたことが明らかになったそうで、これによって“プライバシー至上主義”を掲げるAppleへの風当たりが強まる可能性があります。
ちなみにドナルド・トランプ米大統領は、ロック解除要請をはねつけてきたAppleを「彼らは自分たちを何様だと思ってるんだ?」「危機に正しく対応し、我々の素晴らしい国を助けるべきだ」と何度か批判しています。
Source:CNN
(kihachi)