Apple、AR瞑想アプリ「Healium AR」を紹介〜神経科学を応用


     
    Appleは11月11日の「退役軍人の日」に、実際に退役軍人の不安解消に役立っているという拡張現実(AR)瞑想アプリ「Healium AR」を公式Webサイト上で紹介しました。アプリができた経緯や、退役軍人のアプリユーザーのコメントなどを掲載しています。

    退役軍人が実際にAR瞑想アプリを使用

    スティーブ・ミル氏は、29年間を軍の中で過ごした人物です。米空軍の消防士として10年、海軍の従軍牧師として19年務め上げました。ミル氏は軍務でイラクやアフガニスタンにも派遣されており、現在でも愛する人を任務中に失くした家族のサポートを行っています。
     
    ミル氏は時々、川岸のベンチに腰掛けて水辺を見ながら、AR瞑想アプリ「Healium AR」を使用します。「アプリで精神状態が本当に良くなるんだ」
     

     
    2008年にイラクから帰還した後、ストレスと闘うことに焦点を当てた神学部の博士過程を開始したミル氏ですが、他人をトラウマから救おうとすると、自身にもパニック発作が起こるようになっていました。

    アプリができた経緯とは?

    ミズーリ州出身のテレビジャーナリストのサラ・ヒル氏は、長年暴力や悲劇を伝えてきましたが、キャリア20年を迎えたころ、パニック発作が起こるようになりました。
     

     
    友人である臨床心理士のジェフ・タラント医師に相談したヒル氏は、当時新しかったニューロフィードバック(脳波の周波数を調整を行うバイオフィードバックの一種)を薦められます。タラント医師は脳波測定器で彼女の脳の電気的活動を見るとき、注意や集中力を担う前帯状皮質に焦点を当てました。
     
    「基本的に不安というのは、ある考えや感覚を長期にわたって何度も何度も繰り返してしまうことだ」とタラント医師は語ります。
     

     
    タラント医師は、ヒル氏が家でコンピュータで使用できるプログラムをデザインしました。スクリーン上の飛行機を一定のラインより上に保ち続けるという内容のものです。前帯状皮質を含める彼女の前頭葉の活動が静かになると、タスクに成功することができました。
     
    プログラムを何度も試しているうちに、ヒル氏のパニック発作は収まり、彼女は再び眠れるようになりました。

    ジャーナリストからアプリ開発者に転身

    ヒル氏はやがてジャーナリズムを離れ、移動するのが難しい退役軍人の人々に、ワシントンD.C.の軍事博物館をに仮想現実(VR)と拡張現実(AR)で体験してもらうプロジェクトに従事することになりました。そこでヒル氏は、退役軍人の人々に目に見える変化が起こっているのに気づきました。
     
    ヒル氏はタラント医師とともに、VRとARが気分とストレスに与える影響についての調査を続け、以前タラント医師が開発したニューロフィードバックプログラム組み合わせることでAR瞑想アプリ「Healium AR」が誕生しました。
     
    ヒル氏はAppleが開催した女性起業家キャンプApple Entrepreneur Campにも今年参加しており、アプリはApp Storeでダウンロード可能となっています。
     

     
    「Healium AR」は、Apple Watchと同期して動作します。まず深呼吸して心拍数を遅くします。瞑想プログラムの一つでは、太陽系がARで目の前に姿を現します。ストーリーテリングと、神経科学、ゲームデザインを組み合わせることで、ユーザーは落ち着きを得ることができます。
     

     
     
    Source:Apple
    (lexi)

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