ジョブズ氏の先見の明…オンラインのApple Storeが果たした役割とは?

    Apple Store Online

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    現地時間の11月10日に開設から22周年を迎えたオンラインのApple Storeについて、米メディアのAppleInsiderが、その歴史的な役割を紹介しています。1997年にスティーブ・ジョブズ氏が復帰して製品ラインナップを簡素化し、カラフルなiMacを発売したことが、Appleがそれまでの苦境を脱して現在まで続く快進撃をスタートするきっかけになったとされていますが、その成功には、同年開設したオンラインのApple Storeの存在が大きく貢献していました。

    Apple Store誕生前夜

    90年代当時、まだ現在のようなApple Storeの実店舗は存在せず、Macを手に入れようと思ったら専門のディーラーか大規模チェーン店を訪れなければなりませんでした。しかし大規模チェーン店では、販売員は自分が売った商品に応じた手数料収入を得ており、手数料の低いMacは熱心に販売されていなかったのです。
     
    チェーン店の1つであるCompUSAの中にMac専用コーナーを設けるなどの策は取っていたものの、自社製品の販売を自分たちでコントロールできないという欠点は解消されることはありませんでした。
     

    シアーズで売られるMac

    自社製品を自由に売れる強み

    状況を打破するため、ジョブズ氏が打ち出したのが、自社製品を自社の管理下で販売するオンラインのApple Storeという戦略でした。
     
    1997年に新たに誕生したオンラインのApple Storeは、すぐに大成功を収めます。最初の30日間の1日あたり平均売上額は73万ドルで、これは同じビジネスモデルの先駆者Dellのオンラインストアが半年かけて到達した額の4分の3に達するものでした。
     
    この成功があったからこそ、世界各地に実店舗型のApple Storeが建設されることになり、人々が手軽にApple製品を購入できる仕組みが生まれたのです。先日発表された直近の四半期決算では、Appleはハードウェア単体で1日あたり平均5億7千万ドル相当のデバイスを売り上げています。
     
    Apple Storeの強みは、自社ですべてコントロールできることです。新製品発表直前に世界中のオンラインのApple Storeの画面に一斉に現れる「We’ll be back soon」(最近は「Be right back」)の文字はもはや風物詩となっていますが、同時にAppleにとっては強力なプロモーションツールでもあります。故意とはいえ、サイトがダウンするだけで世間の注目を集めるからです。かつて世界各地の実店舗型Apple Storeの風物詩となっていた大行列も、格好のプロモーションツールだったと言えるでしょう。
     
    22年前にジョブズ氏の英断によって誕生したオンラインのApple Storeが、Appleの販売戦略の大きな転換点となり、今でも世界中のAppleユーザー獲得に貢献していることを考えると、ジョブズ氏の先見の明に改めて驚かされます。
     
     
    Source:AppleInsider
    (誠)

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