イタリア、Appleなどの巨大IT企業に「デジタル課税」実施へ
イタリア政府がデジタルコンテンツを扱う巨大IT企業に対して「デジタル税(Web税)」を課す用意を進めています。対象企業にはAppleやGoogleなどが含まれます。
700億円超の税収期待
イタリアで、2020年の政府予算にデジタル税が含まれていることが分かりました。世界全体で年間収益が7億5,000万ユーロ(約896億円)以上かつ国内デジタルサービスで550万ユーロ(約6億5,780万円)以上の収益を上げている企業を対象に、オンライン上での送金に対して3%を課税するというもので、年間6億ユーロ(約717億円)の税収が見込まれています。
イタリアはEUの財政ルールを遵守すべく、230億ユーロ(約2兆7,500億円)の財源を確保することが欧州委員会から求められているため、巨大な利益を上げるテック企業に対し課税を厳しくすることで、予算の一部を調達する狙いがあると考えられています。
デジタル課税は国際的な取り組み
デジタル課税に踏み切ろうとするのは、イタリアだけではありません。
フランスもGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)への課税を可能にする「デジタル・サービスへの課税創設」を上下院で可決しており、イタリアと同様に3%の課税を2020年1月より実施する予定です。
欧州各国が歩調を合わせてデジタル課税に踏み切る背景には、巨大IT企業に対して各国が適切な課税を行えるよう、経済協力開発機構(OECD)が音頭を取り国際的な枠組みをまとめていることによるものです。
この枠組みでは、物理的な拠点がなくとも一定の売り上げがあれば課税できるようになるので該当企業からの反発が予想されるほか、それぞれの国での売り上げの比率に応じて課税額が決まるために各国の対立も懸念されています。
ただし、法人税の低いアイルランドに子会社を置いて大掛かりな節税を行っていたAppleが問題視されているように(Apple側は反論)、巨大IT企業を制御するような取り決めを国際的に構築することは“時代の要請”でもあります。
Source:Reuters,JETRO,朝日新聞
(kihachi)