ティム・クック氏とトランプ大統領の意外な関係を米メディアが考察
今年8月、Appleの最高経営責任者(CEO)ティム・クック氏とトランプ大統領は会談を行いました。米メディアThe Wall Street Journalは、会談の内容などを参考にし、クック氏とトランプ大統領の関係性について分析を行いました。同メディアは、クック氏がトランプ大統領との関係を保ちつつも、Appleの企業としての利益をバランス良く確保していると述べています。
クック氏とトランプ大統領の関係性
The Wall Street Journalの報道によると、会談が行われるにあたって、Appleの経営陣はトランプ大統領からの牽制を受けるのではないかと心配していました。
経営陣が心配していたのは、Appleは中国に最大の工場を所有しており、大統領は国外で製造することを好ましく思っていないからです。また、iPhoneによる通信がエンドツーエンドで暗号化されていることも大統領が批判的に見ていることの1つです。
クック氏は、iPhoneの成長が自動車産業の成長とは異なる点を強調しました。iPhoneはそのデザインと技術に力を注いでおり、組み立てにかかるコストは比較的小さいとした上で、アメリカの労働者は大きな利益を得ていると述べました。
会社の利益を保護するために、クック氏はトランプ大統領との良い関係を築き始めた、とWSJは指摘しています。
クック氏はいかにして政治活動と企業利益のバランスをとっているか
同メディアは、クック氏はイバンカ・トランプ氏やその夫のジャレッド・クシュナー氏との関係も築き始め、移民問題やその他の社会問題について、ホワイトハウスに積極的に意見している、とも述べています。興味深いことに、この点に関して、Apple社内においてクック氏に対する非難の声は上がっていません。
2018年の中間選挙で、Appleの寄付金のうち、ほぼ97%が民主党に流れていることに関しても、Apple社員は公にクック氏を非難していません。
クック氏がアメリカの社会問題に関して大統領に意見していると述べましたが、同氏のこういった働きかけは、貿易戦争における関税問題などの面でプラスに働き、社員へボーナスを供給することも可能にしています。
政府系ウェブサイトSenator Mark Warnerはクック氏のこういった働きを高く評価し、Appleに近い識者たちの言葉を引用して以下のように述べています。
「国の政策に疎い人々はシリコンバレーにたくさんいるが、クック氏は異なっている。彼は分かったようなふりをするのではなく、アメリカの政治に関する実際のことを知っているのだ」
クック氏と大統領および関係者が関わりを持っているとは言っても、Appleの政治活動は他のシリコンバレーの大企業などと比べると控えめなほうといえます。
Appleは2017年から政治活動に1,800万ドル(約1億4,000万円)を費やしていますが、Amazonや、Googleの持株会社であるAlphabetはAppleの倍以上を費やしています。
Source:The Wall Street Journal via 9to5Mac, Mark R. Warner
Photo:The White House, Wikipedia
(david)