Apple、世界最大のiPhone工場での労働法違反を認め、改善を約束

    China Labor Watch (CLW) レポート

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    中国にあるFoxconnのiPhone組み立て工場は派遣労働者の割合が高く、労働法違反にあたるとする報告書を、人権擁護団体が公開しました。AppleとFoxconnは問題を認め、改善を約束しています。

    「派遣労働者の割合が高すぎ」人権擁護団体が指摘

    新型iPhoneの発売を控えた繁忙期に、Foxconnの工場では一時雇いの派遣労働者が全労働者のおよそ半数を占めており、これは派遣労働者の割合を10%以下に抑えるよう定めた労働法に違反している、とChina Labor Watch(CLW)が現地時間9月8日に公表したレポートで指摘しています。
     
    CLWは、中国河南省の鄭州市にあるFoxconnの工場に覆面調査員を送り込んで調査したところ、2018年の工場労働者のうち55%が派遣労働者だった、と指摘しています。
     
    CLWは、米ニューヨーク市に本部を置く、中国の工場労働者の人権擁護を目的とした非営利団体で、2000年に設立されています。同団体は、これまでにAmazon、Nike、Adidasといった大企業の工場における労働法違反を指摘しています。

    AppleとFoxconnは問題を認め、改善を約束

    Appleは、調査の結果、自社の基準を超える派遣労働者が確認された、と指摘された内容を認め、Foxconnと密接に連携し早急な問題解決に取り組んでいる、とコメントしています。
     
    Appleはまた、同社が禁止している夜間の時間外労働に、学生インターンが従事しているとのCLWによる指摘内容も認めています。ただし、時間外労働は本人の希望によるもので、適切な手当てが支払われていた、と説明しています。
     
    Foxconnも、派遣労働者への過度の依存があったことを認め、すぐに問題への対処を開始した、と説明しています。

    iPhone XSは構造が複雑で多くの労働者が必要に

    CLWは、時期や販売状況によって変動する工場の稼働に対応するための調整に派遣労働者が使われており、問題の根本的改善が必要だと主張しています。
     
    CLWのレポートによると、新型iPhone発売前の繁忙期、鄭州の工場では1回のシフトで12,000台ものiPhoneが組み立てられるそうです。
     
    2018年に発売されたiPhone XSは、前年のiPhone Xと比べて構造が複雑なため、より多くの労働力が必要になった、とCLWは指摘しています。
     
    多くの工場労働者は、より多くの収入を得るために自発的に時間外労働をする傾向があり、彼らの月給はおよそ4,000人民元(約60,000円)で、税金などを引かれた手取りは3,000人民元(約45,000円)ほどになる、とCLWは報告しています。
     
    中国政府の統計によると、労働者1人あたりの平均月収は2,352人民元(約35,000円)とのことです。

    過去にも、サプライヤーの労働問題を指摘されているApple

    Appleは、以前からサプライヤーの工場労働者の労働環境のことで批判を受け、改善を約束してきました。
     
    Appleは、「サプライヤー責任」と題したレポートを毎年公表し、サプライヤーの従業員の労働環境改善の取り組みについて説明しています。
     
    レポートには、従業員の安全確保、権利教育、強制労働の排除などの取り組みに関する情報が掲載されています。
     
    Apple サプライヤー責任
     
     
    Source:Bloomberg
    Photo:China Labor Watch
    (hato)

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    この記事を書いた人

    2013年からライター&編集担当として活動。2007年、駐在中のシリコンバレーで発売直後の初代iPhoneに触れて惚れ込む。iPhone歴は3GS→5s→6 Plus→7 Plus→XS Max→12 Pro Max→14 Pro。

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