米大学研究チーム、スマホアプリでノロウイルス検出する仕組み開発

スマートフォン ノロウイルス 研究 医療 アプリ

スマートフォン ノロウイルス 研究 医療 アプリ
 
スマートフォンを医療に役立てる研究は数多くありますが、新たに米大学の研究チームがスマートフォン向けアプリで水中のノロウイルスを測定できる仕組みを開発しました。

日本でも冬に感染拡大

ノロウイルスは集団食中毒を引き起こす病原体として知られており、米国だけでも毎年20万件以上の症例が報告されています。日本でも例年12月〜2月頃の乾燥した時期を中心に流行します。ノロウイルス感染者の下痢や吐瀉によって食品や空気、水環境が汚染され、被害が拡大していきます。
 
一般的にノロウイルスの検出は研究室で電子顕微鏡を用いて行われますが、検出のためには多くのウイルス粒子が必要であるのにもかかわらず、高額なうえにウイルスの培養ができず対処が遅れるなどの難点が指摘されていました。

低コストでスピード測定

今回アリゾナ大学の研究チームが開発したのは、スマートフォン向けアプリと簡単なキットで誰でも素早くノロウイルスが検出できる仕組みです。高額で手間もかかる従来のアプローチに比べ、キットを構成するパーツの大半は誰でも入手が可能だそうです。
 
マイクロ流体チップを水に浸し、ノロウイルスに反応する蛍光抗体から発信されたシグナルを、スマートフォンに装着した小型の蛍光顕微鏡が拾います。マイクロ流体チップから送られるデータは画像化され、画像内で発光するピクセルをアプリが数えていきます。ノロウイルスと蛍光抗体は繋がっているので、発光するピクセルの数はノロウイルス粒子数に変換できます。
 
スマートフォン ノロウイルス 研究 医療 アプリ
スマートフォン ノロウイルス 研究 医療 アプリ
 
この技術を使えば、従来型の携行型検出キットより6桁も微量な、1ミリリットルあたり10アトグラム(100京分の1グラム)ほどのノロウイルスでも検知ができるので、船舶などの閉鎖された空間でも早急な対処が可能です。また、研究室に持ち運んで時間をかけて測定する必要もなく、アプリで素早く解析が可能なので「大量の井戸を検査するのにも適している」と研究チームは胸を張ります。
 
スマートフォンを医療分野に活用する研究は、これまでにもDNA解析HIV治療などで取り組みが続けられてきました。いずれも研究室で行う検査に匹敵するレベルにもかかわらず、安価なコストで検出ができるので、新興国などでの活用が期待されています。
 

 
 
Source:NewScientist,国立感染症研究所
(kihachi)

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この記事を書いた人

丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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