Apple Cardでは儲からない?緩い審査や景気後退もリスクに

    Apple Apple Card

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    Appleと投資銀行Goldman Sachsが提携して発行した「Apple Card」は、年会費いらずで最大3%の還元率とユーザーにとって恩恵の大きいクレジットカードです。しかし誰かにとって恩恵があるサービスは、往々にして別の誰かがそのツケを払っているパターンが多いのです。投資家の間では、Goldman SachsがApple Cardで利益を短期的に見込むのは難しいとの見方が浮上しています。

    Goldman Sachsに旨味はあるのか

    野村證券のアナリストによると、Apple Cardのユーザーを1人獲得するのに、Goldman Sachsは約350ドル(約36,700円)のコストをかけており、この出費をユーザーから回収するのに平均4年を要するそうです。
     
    理由はApple Cardが同業他社よりも金利を低く設定していることにあります(年利:12.99%~23.99%)。消費者(借り手側)とっては金利が安ければ安いに越したことはありませんが、金融機関(貸し手側)にとっては安ければそれだけ利益も少なくなります。また年会費や延滞金もかからないうえ、審査はかなり緩く手続きが即完了すると評判ですが、いずれもGoldman Sachsにとってはリスクとなる可能性を秘めています。
     
    しかも米国では景気後退が懸念されているとあって、今後の景況次第では「Apple Cardのポートフォリオが収益を更に押し下げ、業界平均よりも大きな損失を生み出す可能性がある」と同アナリストは警鐘を鳴らしています。景気が悪化すれば、不払いの増加や使用金額の減少が予期されるからです。

    要注意顧客でも審査をパス

    ニュースサイトAppleInsiderも、他社では審査に通りにくい層(クレジットカードの使用履歴に問題があるために信用スコア=FICOが低い層)でもApple Cardに登録できている状況を懸念しています。
     
    とりわけFICOが660点を下回る層は、2007年に発生したサブプライム住宅ローン問題になぞらえて“サブプライム層”と呼ばれ、金融機関ではクレジットカードの焦げ付きが起きるリスクの高い顧客として扱われています。そうした層でも登録できたとの報告が複数確認されているのです。
     
    AppleやGoldman Sachsは審査基準を明らかにしていないため、サブプライム層でもApple Cardが利用可能となる明確な理由は不明です。一挙にシェアを拡大したい狙いや、潤沢な資産でカバーできる自信があるのでしょう。もしかすると、創業者スティーブ・ジョブズ氏が15年前にApple Card(当時はiTunes Credit Cardだった)を構想した時に掲げた“承認率100%”の理念が息づいているのかも知れません。
     
     
    Source:CNBC(1),(2),AppleInsider
    (kihachi)

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    この記事を書いた人

    丸みを帯びたiPhone3GSの筐体に惚れ込み、Apple信者を誓ったのも今は昔。2014年から始めたライター業がきっかけで、気づけばXiaomiやHuaweiなど中華スマホにも手を出す浮気症に。

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