香港で非正規の修理工場が摘発~格安修理に隠されたワナとは?
非純正の部品を使って国際的にiPhoneを修理していた香港の業者が摘発されました。押収された部品は総額940,000香港ドル(約1,310万円)相当にのぼると見られています。
世界中から郵送で修理を請け負っていた
Appleは直営ストア以外に正規の修理業者(正規サービスプロバイダ)を定め、そうでない非正規の業者と一線を引いています。とはいえ、正規の修理業者は多くの場合、Apple直営ストアが定める修理料金と同額でサービスを提供しています。そのため、正規の修理料金を高額に感じるユーザーの需要を汲んで、安価で請け負う非正規業者が後を絶ちません。
もっとも、彼らが格安で修理を請け負えるのは、純正の部品を使用していないことが大きな理由です。言わば、規格だけは合致する「ニセモノ」で、品質が保証されていないばかりか、部品によっては商標法違反に抵触する恐れもあります。
今回、香港の税関によって摘発を受けたのも、そうした非正規修理を請け負う業者の1つと見られています。5,000平方フィート(約464平方メートル)の仕事場兼倉庫からは、計3,900ものスマートフォンや偽物の部品が大量に押収されました。
捜査の結果、当局の摘発から逃れるためにオーストラリアやアメリカ、イギリスといった海外からの受注を中心に請け負い、壊れたiPhoneを非純正の部品を用いて修理したうえで、送り返していた手口が明らかとなりました。わざわざ都心部からは離れた屯門(テュンムン)を巣窟にしていたのも頷けます。
非正規の修理業者は香港で珍しくない
今回は郊外の大掛かりな修理工場が摘発を受けましたが、香港では安価で修理できる非正規業者があちこちに居を構えています。
例えば、iPhone X以降に搭載された有機EL(OLED)ディスプレイの画面割れを修理しようとすると、AppleCare+に非加入の場合、Appleの修理料金(保証対象外)は3万円を超えます。日本国内の非正規業者を使えばいくらか割安になりますが、それでも2万円前後を要します。ところが、香港の非正規業者では1万円少々(1,000香港ドル前後)で修理できてしまいます。
もちろん、彼らが使う部品はグレードの差こそあれ非純正で、大抵は純正品に比べると質が劣るため、修理の依頼には注意が必要です。また、非純正の部品を使って修理を行うとメーカー(iPhoneならApple)の保証対象外となるので、その後Apple Storeなど正規の業者に持ち込んでも、修理箇所によっては受け付けを拒否されるリスクも伴います。
Source:South China Morning Post
Photo:Apple,Let’s Go Fix
(kihachi)