Appleは“盟友”JDIを救うのか~支援観測で株価上昇も一部は懐疑的
外資傘下になることが4月に発表されたJDIですが、資金支援を行うはずだった中心企業が投資を見送ったことで、再び経営状態が危ぶまれていました。そうした中で降って湧いたのが「AppleがJDIを救うのではないか」とする観測です。
Appleの支援観測で株価上昇
Wall Street Journalは18日、AppleがJDIの支援を検討しているとする記事を発表、1,000億円にも上る債権の一部放棄や最大200億円の資金支援などを行う用意がAppleにあるとしました。この報道によって、JDIの株価は19~20日で55円から70円へと27%も上昇しました。
AppleとJDIの関係は深く、JDIはiPhone XRを始めとしたiPhoneシリーズの液晶ディスプレイ(LCD)を長らく供給してきたほか、最近では次期Apple Watchに用いる有機EL(OLED)ディスプレイを担当するとの観測も出ています。
こうした状況を思えば、Appleが窮地に陥った“盟友”JDIを簡単に見捨てるとは考えにくいようにも思えます。
Appleの支援に懐疑的な見方も
ただし、WSJのApple支援観測に対して、懐疑的な見方があるのも事実です。
例えば9to5Macは、スマートフォン業界がLCDからOLEDへと舵を切るなかでJDIの認識の甘さがOLED転換への遅れを招いたこと、経営改善のメドが立たず2018年3月期には2,472億円の赤字を計上したこと(2019年3月期は1,094億円の赤字)などを挙げ、Appleが積極的な支援を行うことに疑問を呈しています。
実際、台湾・中国連合のコンソーシアムで中核を担っていたTPK(タッチパネル製造大手)が出資撤退を表明したのも、負債が今後も拡大見込みであることや、受注を以前のように獲得できるとは限らないこと、米中貿易摩擦の影響、日本企業の排外的な非協力姿勢などが理由にあるとされています。
さらにTPKのみならず、コンソーシアムに参加している他の4社も投資判断を保留しており、Appleが彼らの及び腰を意に介さずJDIを引き受けるかどうかに注目が集まっています。
Source:WSJ,経済日報,9to5Mac,日本経済新聞
Photo:Yahoo!Finance
(kihachi)